【趣味のメダカ】 ヒレ長メダカの魅力と進化の可能性に迫る

2013年、熊本県長洲町、福岡県大牟田市にて、革新的な進化を遂げたメダカが生み出された。その名は、松井ヒレ長メダカ。この血統のメダカを最初に発見した松井養魚場の名を冠している。 ここでは、このメダカの素晴らしさと、秘められた進化の可能性をお話ししようと思う。

松井ヒレ長メダカの魅力は、何と言ってもやはりそのヒレにある。広がったヒレをたなびかせて泳ぐ様は、その魚がメダカであることを忘れさせるほどである。 腹ビレ以外のヒレが、相似形を描くように伸長することが他のヒレ長メダカとの違いであり、そしてこの違いこそが、松井ヒレ長メダカの進化を生み出す秘訣とも言える。

現在、松井ヒレ長メダカを祖として作出された様々なメダカが誕生している。幹之メダカの特徴をもつ『天女の舞』、オロチメダカの特徴をもつ『サタン』、 この他にも松井ヒレ長形質を巧みに取り入れた新品種メダカが存在する。そのどれをとっても言える事、それは、ヒレの伸長による美の強調である。 例えば、天女の舞は、伸びたヒレに幹之メダカ由来の青い金属光沢が入り、サタンではヒレ先まで漆黒が乗る。つまり、伸長したヒレに別の形質、特にヒレの色に特徴がある品種の形質が入ることによって、 二つの特徴が相乗効果を生み出すのである。これこそが松井ヒレ長メダカのもつ進化の可能性の一つである。想像してみて欲しい、三色メダカや紅白メダカの緋が入ったヒレが伸長したら・・・、 楊貴妃メダカがヒレ長形質を獲得したら・・・。想像するだけで、ワクワクしてしまうのは私だけだろうか。





さらに、松井ヒレ長メダカがもつ別の進化の可能性。それは位置特異的なヒレの伸長である。ベタやグッピーにはダンボ(エレファントイヤー)という胸鰭が特に大きく伸長する品種が存在する。 メダカにおいてもこのような進化は可能であると考える。というのも、分類学上比較的近縁種のグッピーに関してはヒレの伸長に関する遺伝情報がある程度明らかになっており、 ブリーダーはそれをもとに品種改良をおこなっている。メダカのヒレ長形質の発現にも、同様の遺伝子制御が関与していると思われる。もし、これが明らかになれば 位置特異的にヒレを伸長させることも可能であるだろうし、変わりメダカの表現型がいっきに広がり、さらなる進化を遂げることは確実である。まずは経験則的にヒレの伸長を制御するところからであるが、 将来的にはこの遺伝子関与の機序が明らかになることを願ってやまない。









【趣味のメダカ】 メダカ生産とその秘訣〜養殖センターを大解剖〜

2009年、指宿養殖センターの創設とともに始まった、カミハタブリードメダカ生産。 現在に至るまで幾つもの成功と失敗を繰り返してきた。今回は、記念すべき『めだかこばなし』第一話と称し、 カミハタブリードメダカの生産風景と生産秘話をお伝えしていく。

【趣味のメダカ】 楊貴妃の深淵に迫る

2004年、かつて誰も目にしたことの無いようなメダカが世に現れた。 その名は、楊貴妃。燃えるような朱赤色の体色が唯一無二の特長である。 リリースされてから10年以上が経った今でもなお、赤系メダカの頂点に君臨し、人々を魅了し続けている。 今回は、そんな楊貴妃の奥深さに迫ってみたい。

【趣味のメダカ】 紅累代記

楊貴妃透明鱗メダカ、『紅(くれない)』。カミハタオリジナルメダカ作出の祖となったメダカである。 今回は、紅から始まった数世代に渡る累代記をご紹介したいと思う。 今後、メダカフリーク諸氏にとって、繁殖のヒントとなってくれれば幸いである。

【趣味のメダカ】 オーロラ幹之〜メダカ史に新たなページを刻む〜

2015年以降、メダカの表現型は非常に多岐に渡るようになった。楊貴妃メダカや幹之メダカなどの誕生に匹敵するほどの進化が起きたと言っても過言ではないだろう。その背景には、あるメダカの誕生が大きく関与している。 今回は、そのメダカに焦点を当ててみる。

【趣味のメダカ】 天鳳累代記

カミハタオリジナルメダカ、『天鳳』。体外光とラメ光のまばゆい光を放ち、天を舞う鳳を思わせるその風貌。多くの魅力が詰まったメダカである。今回は、その魅力に焦点を当てつつ、作出に至るまでの累代記をお話ししたい。

PC / スマートフォン