志藤さんに聞いた水草ランキング特集

EHEIMアンバサダー 志藤さんに聞いた水草ランキング特集

ベテランアクアリストの志藤さんにお題を出し、ランキング形式で答えてもらいました。
レイアウトにお困りの方、これから水草を始めようという方、是非参考にしてもらえたら幸いです。



志藤さんはこんな人

志藤 範行(しとう のりゆき)氏
同氏はアクアリウム歴38年、エーハイム歴34年のベテランアクアリストです。
また、東京都文京区でAn aquarium.というお店の代表を務められています。 水草やレイアウト技術、熱帯魚に関しても造詣が深く、メディアへも多く登場されています。
「日本経済新聞」、「オレンジページ」、「サライ」などへの記事掲載をはじめ、TBS系「マツコの知らない世界」へも出演されました。

初代エーハイムアンバサダーに就任
エーハイムアンバサダーによるYouTube動画配信をおこなっており、生き物の話やエーハイム製品の裏ワザ的テクなども発信しています。
動画はこちらから



志藤氏が手掛けた水槽レイアウト



レイアウトで困ったらこれ

水草レイアウトをしっくり魅せるための種のチョイス。あえて「緑色で育生とトリミングが比較的楽な種」を主に選びました。



1位 パールグラス

組織培養の流通が定着し、状態のよい株がどこでも入手できるようになった。それに伴い、失敗が少なくなり細かなライトグリーンの雰囲気をどなたでも手中にすることができる。

草姿が小さく小型の水槽にも活用しやすく、貝の発生などで育生状況が悪化することがないこともトップに推した理由。



2位 グリーンロタラ

種の選択に悩んだら「緑色の水草」を故意にチョイスするのがよい。これを鉄則として、パールグラスの次にピックアップしたのがこの種。

大事な条件として比較的流通している種であるということも大事。そして育生がさして難しくないこととトリミングでの維持管理がスムーズであること。これらの条件にマッチする水草は、実はさほど多くない。



3位 ミクロソルム “トライデント”

明るめで緑の有茎種が二つ続いたところで、素材に活着させて使用できる種を一つピックアップした。

色合いは濃いめの緑、かつ細葉で素材に固着できる。流木や石でレイアウトの骨組みを製作したあとで、素材の見た目の欠点を多少隠すことができ、かつ素材の印象を細葉水草の草姿で隠しすぎないことなど、利点が多い。徐々に細葉が別れて展開してゆくため、目立ちすぎずかつ印象的な視覚変化も楽しめる。



4位 ヘアーグラス

十分な光量の下では育生がスムーズで、芝生のように覆ってゆくので、楽に前景を埋められる種としてもオススメ。

背丈が低いままの種から背景を埋められる種まで、上手に種をチョイスすると植え込み場所を問わずマッチングさせることができる。短めであれば「ミニヘアーグラス」「アシクラリス種」、背景側であれば「ビピパラ種」「ロングヘアーグラス」などからチョイスする。



5位 Hyg. ピンナティフィダ

暗緑色から赤茶色の水草を最後にチョイスした。植え込みのあとひとたび水槽に定着すると、石や流木にもランナーを伸ばし活着するような感じに展開。そうなると直植えでも活着用とでも両輪で活用できるようになる。

色合いが暗めだが葉の切れ込みが細かく、見ようによっては赤っぽい色合いのボルビティス風に活用することができ、かなり用途が広い種である。導入初期は底床に植え込み、しっかり根張りさせることが失敗をなくすコツとなる。





初心者向けランキング

ここはあえてガス無しを想定。比較的長期で楽しめる種をチョイスしてみました。メインは魚、そんななかでアクアリウム用の水草をピックアップ。



1位 ミクロソルム

ガス無しの水草水槽は、エサ無しの魚の飼育とほぼ同義。というのも光合成を生活の糧としている水草たちにとって必要なものではあるが、そこをなんとか耐え忍ぶ陰生植物の代表格がミクロソルム。

種のチョイスができるのであれば、大きすぎず細すぎず葉を持つ種がベター。それがいちばん持ちがいい。ただ、落ち着くまでに3ヶ月ほどは見ておくべきで、待てないときはCO₂の設備投資がやはりスムーズと言える。



2位 アナカリス

どこでも入手できるシリーズからのチョイス。キンギョ藻として流通することが多い本種は、入手サイズから葉が一回り細く小さくなって、低条件でも水槽内で生き延びてくれる。定着した本種は透明葉のキレイな草姿を魅せる。

ガスの添加により生長速度が増し節間が伸びてしまうのでかえって見た目が間延びしたようになってしまうのでご注意を。



3位 アマゾンフロッグピット

ガス無し水槽でどうしても水に沈める水草がダメになってしまい苦手意識が生じたら、ここは割り切って「浮き草」のチョイスも選択肢の一つ。室内での使用であれば比較的明るい窓辺や、家で余っているディスクライトなどを導入し、さらに少し新たな光条件を準備。

水草本体は水面に浮いているが、根が水中へと展開。無理に水中に沈めてそれが枯れてしまえば水を汚してしまう。水面で殖えてくれるようであれば浄化にも一役買ってくれる。視点を変えたチョイスもありだ。



4位 アヌビアス ナナ “ボンザイ”

ガス無しの水草にとっての悪条件を耐え忍ぶシリーズの一つで、この種をチョイス。水槽サイズが小さめでも向いている葉の大きさで、生長はかなり遅いがなんとか生き延びることができる比較的水中向きの水草。

通常のナナ種であればどこでも入手は可能だが、葉のサイズが意外に気になるサイズ。オランダのアクアフルールのボンザイであれば、サイズは半分以下だ。入手状態も比較的安定しているので、導入はスムーズ。値段は少し気張ってしまうがチャレンジしてみよう。石や流木にも固着できるので意外に用途は広め。



5位 アマゾンチドメ

この種のチョイス理由は、水中から水面まで楽しめることでピックアップ。水中からゆらゆらと立ち上るさまは絵になるが、入手した水上葉をいきなり悪条件で育生を始めると時として枯死しダメになる。

水中に馴染ませるにはかなりの時間をかけるか、もしくはガスの添加がスムーズ。長めの草姿で入手できたときは、まずは水面に浮かす。1週間ほど馴染ませたら、植え込み頂芽は水面に出す感じで活用。水中で根張りし水面の葉で光合成開始。これで水槽に徐々に馴染み始める。水面に出た葉は横に展開を始め、光を遮るようになるので適時カットしトリミング。

水中での見せ場はもちろんのこと、同時に水面でも葉の展開を楽しんでしまおう。







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