石の接着を使った水槽レイアウトの作り方!液状接着剤・補助材の使い方

水草水槽レイアウトは近年、技術の進歩と共に表現が豊かになっていると感じている方は多いと思います。中でも石を使った複雑な構造のレイアウトは圧巻で、どのように作られているのか想像がつかないレイアウトもあります。そんな憧れのレイアウトにできるだけ近づけられるよう、液状接着剤と補助材を使った石同士の接着方法を中心に石組レイアウト制作のノウハウをお伝えしていきます。

目次

1.石を使って水槽レイアウトの表現幅を広げる

水槽レイアウト用の石は様々なサイズや形、色模様などがあり、ただ置くだけでなく、ちょっと傾けたり、組んでみたり、流木と組み合わせたりすることで、レイアウトの表現幅が大きく広がります。
好みの角度や位置で石を固定する際には、液状接着剤とその補助材を使用して接着します。 接着剤を使用することで、レイアウトが崩れないように固定できるだけでなく、これまで、物理的に難しかった配置の仕方ができるようになります。 サイズが小さ過ぎて魅力に欠ける模様の石同士でも、接着することによって一つの大きな石のように表現することも可能です。 また細かい石を積み上げて石垣のようにしたり、橋のような建造物風のものも作成できます。平たい石は積み上げて段々にすることも可能ですし、石を立て固定して山麓のようにしたり、複雑な形状のレイアウトが可能になります。
このように様々な石は、接着することによって一層「魅せる」ことができるようになります。

2.液状接着剤・補助材を使った石の接着方法

まずは液状接着剤・補助材を使った石の接着方法を見ていきましょう。

2-1.基本的な石の接着方法

慣れないうちは、接着剤も補助材もたくさん使ってしまいがち。思うようにできないこともあるかもしれませんが、慣れると適切な使用量で、ポイントを押さえた接着が素早くできるようになります。最初は、接着箇所を多めにして、接着作業にどんどん慣れていくようにすると良いでしょう。

@接着する素材同士を合わせ、接着箇所を検討します。
接点が多くなる合わせ方だと接着もしやすくなります。
A細かく裂いた補助材を、接着させたい箇所にはさみ入れます。
補助材をピンセットで押しつけるようにして、接着箇所に馴染ませるのがコツです。
B補助材に液状接着剤を数滴浸み込ませて、そのまま硬化するまでしばらく待ちます。
C接着箇所を増やせば、より安定させることができます。

2-2.液状接着剤・補助材使用時の注意点

液状接着剤は、補助材を使って接着する際、硬化と共に発熱が起こり白煙が生じます。作業の際は火気の近くでの使用を避け、充分に換気をおこない、必要に応じてマスクをご使用ください。
また皮膚への付着を防ぐため、手袋や指サックの使用をおすすめします。手袋を使用する場合は、ゴム製などの染み込みのない手袋をご用意ください。

2-3.接着箇所の剥がし方

接着に失敗した場合でも、ノミ、金づちなどを使って接着点に力を加えれば接着を剥がすことが可能です。素材に補助材が付着したまま残ることがありますが、 これもラジオペンチなど道具を使って剥がしてしまえば多少跡は残っても再利用ができます。 素材の再利用は、同じ素材を使って全く新しいレイアウトを組むことができて経済的です。

2-4.【動画】液状接着剤・補助材の使い方

液状接着剤とその補助材を使った接着方法を動画で解説しています。
実際の接着の様子や接着のバリエーションが見て分かるので、イメージがしやすくなるはずです!

3.石組レイアウトの事例

では実際に接着剤を使用して作成した石組レイアウトの写真と共に、事例を見てみましょう。

3-1.木化石を使った水槽レイアウト

木化石を積みあげたレイアウト。石の表面の模様を見てどこを正面に向けるべきか、 また光の当たり方を考えて、影のできる場所、明と暗を意図的に作りながら組み立てられています。

一段一段の土留めが石を接着して作られていて、また奥行きを表現するために頂きの石は小さくなっています。

3-2.青華石を使った水槽レイアウト

青華石を使ったレイアウト例。中央に存在する石を大きく手前に傾け、不安な印象を与える景観を作りました。この石の下部には複数の接着点が存在し、水草で覆うことで接着箇所を隠しました。

3-3.幽玄石を使った水槽レイアウト

幽玄石は凸凹が多い石で、組み合わせてレイアウトを作成しやすい石です。 大小様々な大きさの石を接着で組み合わせ、立体的な山のような雰囲気をつくります。
水草とのバランスが取りにくいかもしれませんが、石組メイン+前景水草というパターンで楽しめるレイアウトです。

3-4.プチアクアの石を使った石垣の水槽レイアウト

小さめの石は細かく積んで石垣みたいにすることができます。このとき、石と石の間には隙間ができやすくなりますが、細かい石の破片などを詰めて接着し、隙間を埋めるようにすると、石の壁として土留めの役割を果たすこともできます。
隙間埋めの場合、小さな隙間であれば補助材は使用せず、石の破片を詰めて直接液状接着剤をかけるだけで接着が可能な場合もあります。

4.石を使った接着のテクニック

石を組んでいく際に、ちょっとした工夫を取り入れるだけで、より良いレイアウトにすることができます。

4-1.小さい石を挟んで強度をアップ

石と石の隙間が大きい場合や、負荷がかかりやすい接着の場合は、間に小石をはさんで接着することで強度を補強します。

石の間にはさむ小石や石の破片は、石を割るときにできるものを集めれば、何かと重宝します。
欲しいサイズより大きめの石しかない場合などに、石を割って使いますが、その際に出る小石なども無駄にはなりません。

石を割る際は、土嚢袋や箱の中などでおこなうようにし、割った欠片が周囲に飛び散らないようにすれば安全、かつ集めるのも早いです。

4-2.石の破片や砂を接着面に付けることでより自然に

接着面が目立たないようにするためにできることとして、基本はなるべく背面側から接着をおこなうようにします。
接着面が、レイアウトの正面から見える位置にくると目立ちやすくなるので、接着する前に正面から見て確かめながら接着点を決めていきましょう。

どうしても接着面が正面側に来てしまう場合などに、接着箇所を目立ちにくくさせるには、細かい石の破片や砂利などを接着面に付着させると自然に見せることができます。

この時、色々なサイズの石の破片や欠片がたくさんあるとなにかと活躍します。

接着面が見えている場合...
石の破片などを付着させて自然に。

4-3.石に浮きやすい流木を接着

石組レイアウトにポイントとして流木を配置することもあるでしょう。 流木は、特に細い枝など、浮きやすいものも多いですが、石に接着すれば浮きあがりを防止することができます。 数週間水に浸けなければ沈まないような流木でも、重さのある石に接着しておけば、すぐにレイアウト作成に使用できて便利です。 途中から浮きあがってくる心配もなくなってストレスを軽減でき、使ってみると価値を実感できる方法です。
重しとなる石の部分は、底床のソイルや砂利に埋めたり、水草を植えたり、コケを接着したりして、隠すこともできます。

5.水槽レイアウトにおすすめの石と選び方

水槽に使用できる石には多くの種類やサイズなどラインナップが豊富です。 特にサイズに関しては、水槽の大きさに合わせて選ぶ必要がありますし、色々なサイズを揃えたほうが奥行き感のあるレイアウトができるなど、幅が広がります。 まずは作成したいレイアウトのイメージを具体的にし、それに合うような石を、サイズ・色・種類など、それぞれの特性を参考にしながら選んでください。

5-1.アクアリウムロック

水槽レイアウトに適した、およそ手のひらサイズの天然石です。
使用する数と組み方次第で、小型水槽〜大型水槽まで幅広く使えるサイズです

平らなものや四角っぽいもの、赤いものや黒いものなど色々な種類があるので、お好みのものを選んでください。


→アクアリウムロックの詳細は、カミハタWEBサイトへ

 

5-2.アクアリウムロック 大サイズ

水槽レイアウトの親石として使用できるサイズの天然石です。
およそ20〜25p程度なので、60p〜90p水槽でメインとなるサイズです。

種類は、アクアリウムロックの中で人気があり、使いやすいとされている4種があります。


→アクアリウムロック 大サイズの詳細は、カミハタWEBサイトへ

 

5-3.アクアリウムロック 特大サイズ

大型水槽でも使用できる特大サイズの天然石です。
およそ30p前後の大きさなので、90〜120p以上の水槽におすすめのサイズです。

自然な風合いをもった代表的な3種類があります。ほかのサイズとも組み合わせやすいラインナップ。


→アクアリウムロック 特大サイズの詳細は、カミハタWEBサイトへ

 

5-4.アクアリウムロック レイアウトセット

レイアウトの親石に使える大サイズ、サブや添石に使える中・小サイズが入っているセットです。組み合わせて遠近感のあるレイアウトを作るのに便利。
45〜75p水槽の石組レイアウトに適したサイズ・数量の天然石が1箱に入っているので初心者さんには特におすすめです。

種類も豊富なので、目的に合った形や性質の石を選びましょう。


→アクアリウムロック レイアウトセットの詳細は、カミハタWEBサイトへ

 

5-5.プチアクアの石

小型水槽のレイアウトにぴったりの小サイズです。
10pに満たないサイズの石なので、20p以下の小型水槽やガラス容器、ボトルアクアなどに最適です。 また石組レイアウトを作成する場合にはなにかと便利で、小さくても欠かせない存在です。

ほかのサイズの石と組み合わせられるよう、種類も増えてきています。小さくても特徴はそのままなので活かしてあげてください。


→プチアクアの石の詳細は、カミハタWEBサイトへ

 

6.水槽に石を入れるときの注意点

  • ●水槽に入れる石はアクアリウム用の石を使用することをおすすめします。石によっては崩れやすいものなど水槽環境に適さない石もあるので注意しましょう。
  • ●石の表面に細かな破片や汚れが付着している場合があります。そのまま使用すると、飼育水に濁りなどの影響が出る場合があるので、使用の前にブラシなどを用いて石の表面を洗浄し、1日以上浸けおきしましょう。
  • ●石の多くは水質をアルカリ性に傾ける性質があります。急激に水質に影響するものではありませんが、使用の前に飼育する生き物の好む水質と石の性質を確認しましょう。また、飼育中は定期的にphなどの水質確認をおこなうようにすることが大切です。
  • ●石を水槽に配置する際は、水槽を傷つけたり破損させたりしないよう注意してください。水槽に付属している専用のマットを敷くのがおすすめです。

7.液状接着剤・補助材のラインナップ

7-1.液状接着剤

液状接着剤は、短期間で使いきりやすい20g入りです。

狭い場所への接着時に便利な極細ノズル3本と、開封、保管用の針付きキャップが付属しています。


→液状接着剤の詳細は、カミハタWEBサイトへ

 

7-2.補助材 ベージュ系

薄い色の石や、木肌の色が薄い流木の接着にはベージュ系がおすすめです。

例えば、木化石の色の薄い部分、気孔石、テラリウムに使用する吸水石などの接着に。


→補助材の詳細は、カミハタWEBサイトへ

7-3.補助材 グレー系

黒っぽい石、青みのある石の接着にはグレー系がおすすめです。

たとえば青華石や石斧石などの接着に。


→補助材の詳細は、カミハタWEBサイトへ

7-4.補助材 モスグリーン系

濃い色の流木や石、そのほか何色が適しているか迷う場合はモスグリーン系がおすすめです。

わりとどの素材にも合いやすく自然なカラーで使いやすいのが特長。


→補助材の詳細は、カミハタWEBサイトへ

8.まとめ

石組レイアウトは一見難しそうですが、接着技術を使うことによって表現の幅が大きく広がります。美しいレイアウトや重力に逆らったような石組の裏では、石を接着する技術が使われていることが多いようです。このページでは石同士の基本的な接着方法を始め、レイアウト例、細かいテクニックやおすすめの石の選び方をご紹介しました。




水草と石の接着の仕方
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