まったりライフのススメ マタマタ


 

マタマタは世界で一番変わったカメでしょう。



マタマタとは?

マタマタ Chelus fimbriatus とはエクアドル、ガイアナ、スリナム、ペルー、ブラジル、トリニダード・トバゴなどに分布しており、ヘビクビガメ科マタマタ属に分類されるカメです。動物図鑑などでも古くから紹介されており、もっとも奇妙な外見をもったカメでしょう。

 


マタマタは頭も甲羅も全部が特徴的なカメです。


擬態の天才!

マタマタは曲頸亜目と呼ばれる首の長いカメです。日本ではあまり馴染みがありませんが、世界的にはこの曲頸亜目のカメさんのほうが実は多かったりします。 ちなみにマタマタという名前の由来は現地先住民族であるトウビ族の言葉で『皮膚』、もしくは『変わった皮膚』、『ヒラヒラしたもの』という意味があるそうです。実に可愛い名前ですね。

マタマタの特徴的な外見は、周囲の落葉や岩石に溶け込むためのカモフラージュであると考えられています。頭部付近にあるヒラヒラには餌となる魚やエビも警戒心なく近づいてくることもあります。まさに擬態の天才なんです。

野生下では流れの緩やかな河川や池に生息し、産卵以外ではほとんど水から出ることはありません。日光浴も浅瀬に移動し、水中で行います。

ペットとしても比較的古い歴史があり、1970年代には国内でも飼育されていた記録があるそうです。ただし、ペットとして流通するのは幼体がほとんどですが、成長すれば甲長50cm近くになるため、最終的には大きな飼育容器が必要になります。



首元にあるヒラヒラした突起。
魚が餌と間違えて近づいてきたりしたら、パクッと丸飲みです。


飼育方法

飼育環境

マタマタは比較的古くから飼育されているにもかかわらず、長期飼育例の少ないカメでもあります。それには様々な理由がありそうですが…まずは飼育方法を紹介します。

マタマタはほぼ完全な水棲種なので、陸場は特に必要ありません。マタマタが首を伸ばして息ができる程度の水深がよいでしょう(甲羅の厚みの2〜3倍)。もちろんしっかりとレイアウト(流木などで足場を作る)できるならば、より深くしても大丈夫です。

マタマタは不活発なので、さほど大きな飼育容器は必要ありません(最終的には大きくなりますが)。幼体ならば45cm〜60cm水槽があれば良いでしょう。

低温には弱いので、水温は30℃前後と高めに設定しましょう。水質は弱酸性を好みます。飼育者によってはブラックウォーターなどを使用しているそうです。

床材は無くてもかまいません。細かい砂を敷くと時折マタマタが砂に潜るような仕草も観察できますが、水質の悪化が早くなるので、注意が必要です。

照明は特に必要というわけではありませんが、紫外線の出る爬虫類専用のランプを設置してやれば良い結果が出るかもしれません。



長い鼻はシュノーケルのように水面へ突き出して空気を吸うためにあります。


エサ

稀に人工飼料を食べる個体もいますが、基本的には魚やエビなどの活餌が必要です。獲物を見つけると、そっと首を伸ばして、周りの水ごと一気に飲み込みます。 昔私が飼育していた40cmほどの個体は大きな川魚を「ガボンッ!」という轟音と共に飲み込んでいました。なかなか迫力のある捕食方法です。

エサやりは非常に楽しいのですが、マタマタは消化力がやや弱く、同時に絶食にもやや弱いという一面があります。エサやりは少量ずつ、定期的に与えるのが良いと思います。 例として、幼体ならば一度にメダカを数匹ずつ、週に2〜3回といったように、エサやりのタイミングを決めておきましょう。また、エサも魚だけでなく、エビなども与えたほうが良いでしょう。 単一のエサを与え続けるのは、あまり良くないと思います。



マタマタの腹部。産地によって色や模様が微妙に異なります。
(アマゾン水系はピンク色、オリノコ水系は黒っぽい、など)


飽きる?いやいや、究極の癒し系です。

私が爬虫類を飼い始めたころ(20年以上前)は、このマタマタとワニガメが奇怪なカメのツートップでした。しかし同時に、「マタマタとワニガメは飽きる」という意見も多々ありました。確かに両種とも動きはのんびりです。 大型個体は一日中同じ場所にいることもあります・・・が、私は飽きたことがありません。一日中見ていられます。マタマタが空気を吸えば、私もあくびをし、マタマタが餌を食べれば、なんだかお腹がすいてきます。もっとも、マタマタにとってはいい迷惑かもしれませんが。

どうでしょう、時には俗世のことをみんな忘れて、大自然が悠久の時をかけて作り出した、『世界一変わったカメ』とまったりした時間を過ごしてみませんか?



奇妙なマタマタとまったりライフ・・・最高だと思いません?
 


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