雌雄の判別

メダカの雌雄の判別は他の魚たちに比べると大変簡単です。
背ビレとしりビレの形を見れば、ほぼ100%雌雄の見分けがつきます。

  • オス
    オス
  • メス
    メス

背ビレ

オスの背ビレは全体的にギザギザしていて一本の大きな切れ込みが入ります。
これに対し、メスの背ビレの縁は滑らかで切れ込みも入りません。

しりビレ

ヒレの縁の形状に着目しましょう。オスのしりビレの縁は直線を描いて後方へ伸びています。
これに対し、メスのしりビレは画像に示していますように、滑らかな曲線を描いているのです。




 

繁殖に必要な道具

いつもメダカを飼育している容器

産卵をさせるのは、いつもの容器でOKです。

稚魚用容器(サテライト水槽、小型水槽、メダカ鉢)

産み付けられた卵や、孵化した稚魚を親から隔離しておくための容器です。
大変残念なことですが、親メダカは卵や孵化仔魚を食べてしまいます。そんな悲しい事態を避けるためにも重要なことです。

産卵床(水草・産卵用ネットなど)

文字通り、メダカが卵を産み付けるためのものです。野生のメダカたちは、水草に卵を絡ませて産むので、産卵床としてホテイアオイやマツモなどを入れるのがおすすめです。また、水切りネットを丸めたものも産卵床として使用できます。

  • ホテイアオイ
    ホテイアオイ
  • マツモ
    マツモ
  • メダカのうずまき産卵床
    メダカのうずまき産卵床
  • ホテイアオイの根に<br>産み付けられた卵
    ホテイアオイの根に
    産み付けられた卵

卵を産ませるためには…

メダカが産卵するために必要な、3つの大きな要素があります。

日照時間

メダカは日照時間(太陽が照っている時間)によって繁殖期を判断しています。それゆえ、野生では立春を過ぎたころから産卵が始まります。1日約13〜14時間、明るい環境になるようにすると良いでしょう。

水温

寒くなるとメダカは、あまり餌を食べなくなり底の方でじっとしていることが多くなります。こうなると産卵どころの話ではなくなってしまいます。
野生のメダカは水温が18〜20℃を超えると産卵を開始します。この温度は地方によりけりですが、立春の頃の水温とほぼ同じくらいなのです。水温を調節するなら約25℃付近を目安にしましょう。
また、日照時間と水温の条件は同時に変化させてあげることが大切です。冬場でも、照明や鑑賞魚用のヒーターを使用するなどして環境を整えれば、メダカたちは卵を産んでくれます。

飽和給餌

飽和給餌とは、お腹いっぱいになるまで食べさせるということです。
産卵にはエネルギーを必要とするため、親メダカの栄養状態が良くなければ、エネルギー不足で産卵をすることができなかったり、産卵数が少なくなることがあります。通常の飼育でも産卵することはありますが、飽和給餌をすることによって、産卵数が増えたり、孵化する稚魚が丈夫に育つ可能性は高くなります。
ただ、飽和給餌をするための環境は、通常の飼育環境とは異なるため、環境を整えてメダカや水質の様子に注意しながら臨みましょう。
まず、ある程度メダカが大きくなり、エサを食べることに慣れてきた時点で、水質とバランスを見ながら徐々に給餌量を増やしていくと良いでしょう。水が汚れやすくなるので、様子をみて換水するか、ろ過フィルターや水草を追加するなどして改善します。一度に大量のエサを撒くのではなく、少しずつ数回に分けてエサを与えるのがポイントです。水量やメダカの飼育数などにもよりますが、1日5回程度、2〜3つまみずつが目安です。
通常の給餌+栄養分豊富で栄養価が高いミジンコを与えることで、産卵数を増やしたり、孵化する稚魚が丈夫に育つ可能性を高めることができます。ミジンコは活きエサであるゆえ水を汚しにくいので、そのままにしておいても良いのがメリットです

  • 活きミジンコ
    活きミジンコ
  • 飽和給餌できている
    飽和給餌できている
  • 飽和給餌できていない
    飽和給餌できていない


産卵から稚魚の育成まで

産卵

産卵が近くなるとメスのおなかはパンパンに膨れ、オスがメスに寄り添って泳ぐようになります。
さらに時間がたつと、メスはおなかにぶら下げるような形で体外に卵を放出します。このときペアとなっているオスが卵に精子をふりかけ、受精するのです。
その後、メスは産卵床となる水草やネットの中に入り、卵を産み付けていきます。産卵床に卵がついていること(上の写真のような)を確認したら、産卵床ごと他の容器に移してしまいましょう。

淡水ワムシの一種
卵をぶら下げたメス

孵化

水温にもよりますが、水温が25℃程度のとき、1週間ほどで孵化が始まります。
生まれたばかりの稚魚はおなかにヨークサックと呼ばれる栄養のかたまりを持っていて、1〜2日はこの栄養を消費して過ごします。エサを食べるようになったら、動植物プランクトンが豊富な青水で育てるか、なるべく粒の細かい人工飼料を与えます。

淡水ワムシの一種
淡水ワムシの一種

孵化仔魚の育成

<孵化後、約1週間経過>体長:約 5mm

<孵化後、約1週間経過>体長:約 5mm

エサを食べるようになりましたが、まだまだ針のように体は細く、色も黒っぽいものがほとんどです。
孵化して間もないメダカは、水温や水質の変化に弱く、ちょっとしたショックで死んでしまいます。また泳力もほとんどないため、吸い込み式のろ過を使うのはNGです。
エアレーションのみ、もしくは目の細かいスポンジフィルターを使ってあげましょう。

順調に成長した場合、約1ヶ月半で2cm、約3ヶ月で成魚の姿になります。

<孵化後、約1ヶ月経過>体長:約 1.5cm

<孵化後、約1ヶ月経過>体長:約 1.5cm

少しずつメダカらしい体型になってきました。
体色が色づき始めている個体もちらほら出てくるのもこの頃です。
もう人工飼料も食べることができるので、どんどんエサを与えていきましょう。

<孵化後、約2ヶ月経過>体長:約 2.5cm

<孵化後、約2ヶ月経過>体長:約 2.5cm

ここまで育つとメダカだと分かりますね。
実はこのメダカたち、全て同じ親から生まれたメダカなんです。色が違ったり、体型が違ったり、面白いと思いませんか??
よーく見ると、ダルマメダカとかヒカリメダカがいるんです。全て同じものが生まれるわけではないところもメダカ繁殖の面白さですね。

<孵化後、約3ヶ月経過>体長:約 3cm

<孵化後、約3ヶ月経過>体長:約 3cm

いわゆる『成魚』の姿です。もう繁殖をさせることも可能な大きさです。
様々な色・形のメダカたちになってくれましたね。この後、楽しい楽しい選別が皆さんを待っています。繁殖させた沢山のメダカの中からお気に入りを見つけ、愛でるのも良し、また、次の親にするのも良いでしょう。
ちなみにこのメダカたちは、この後スタッフが楽しく選別しました。



新品種作出を目指すアナタに

交配のコツ

@作出を目指すメダカのはっきりしたイメージをもつ
作出したいメダカの体型・体色・系統などを、しっかり思い描くことが大事。
できれば、それをノートなどに書き留めて、その品種を生み出すにはどうすれば良いか熟考します。

A親選びは妥協しない
理想とするメダカの作出を目指すとき、最もおこなってはならないことが妥協。親の形質は、良くも悪くも子孫に遺伝します。体色が良いけども、体型に若干の難がある個体を親に用いた場合、その負の要素は必ず遺伝情報に記録され、その後何世代にも渡って影響を及ぼし続けることになるため、最初の親選びには絶対に妥協は禁物です。

B交配は1ペアでおこなう
交配させるときは♂1匹、♀1匹の1ペアでおこなうほうが良いでしょう。というのも、F1個体が得られた際、その親を用いることがベストか否かの判断が容易にできるから。もしも複数の親を用いて採卵を行っていて良質なF1個体が得られたとしても、その両親の判断はほぼ不可能なのです。これは新品種作出を目指す場合には禁忌事項なのです。良い仔が得られた場合、その個体がどの親から生まれたのかを判別し、その遺伝子を後世に遺していくことがとても重要で、その累代過程をしっかりとトレースしていく必要があります。もしも♂10匹、♀10匹を親として準備できるのなら、♂1匹・♀1匹を10ペア設置するのがおすすめです。

  • 錦龍三色

    • 錦龍三色
    • 錦龍三色
  • 幹之

    • 幹之
    • 幹之
  • 非透明鱗三色

    • 非透明鱗三色
    • 非透明鱗三色

2017年からメダカ界を賑わせている品種のひとつ、非透明鱗三色。品種紹介ページでもお伝えしたとおり、よりはっきりとした三色が魅力のメダカ。このメダカを作る最短ルートは、透明鱗性の三色メダカに幹之メダカを交配させることである。こうすることで、幹之メダカの非透明鱗性の形質が三色形質に組み込まれる。ただし、最短といっても、三色と呼べる非透明鱗性のメダカが生まれてくるまでには、複数回の交配を重ねなければならない。例えば、F1で出てくる個体は三色と呼ぶには程遠い、 両者の中間色をもつ何とも中途半端なメダカが生まれてくるはずである。それらを更に交配することで少しずつ緋と墨の両方が入るような三色に近い個体が徐々に出現してくる。 あとは、選抜育種の繰り返しである。完成までの道のりは遠いかもしれないが、とてもやりがいのある異種交配である。

  • 夜桜

    • 夜桜
    • 夜桜
  • 女雛

    • 女雛
    • 女雛
    • 煌
    • 煌

夜桜と女雛を交配し、複数回の累代飼育を重ねて生み出されたのが煌である。2017年にリリースされたこのメダカは、当時としてはセンセーショナルすぎるものであった。というのも、しっかりとした体外光をもちながら、柿色と呼ばれる緋も乗っている。これはそれまでのメダカの通説を覆すものであったためだ。煌の登場後、様々な品種に体外光を乗せるという動きがより活発になり、現在、煌をルーツとする多くのメダカが誕生している。交配のポイントとしては、体外光が乗りそうな個体の見極めにある。夜桜・女雛はともにオーロラ幹之の形質を持っているため、当然体外光を発現させる遺伝子も持っている。親とする夜桜や女雛に体外光が乗っていれば、それは早い話であるが、その確率はきわめて低い。ただ、背ビレの付け根などに体外光がぽつんと乗る『点光』個体はちらほら誕生してくるため、そのような個体を見つけなければならない。さらに、体外光は雌に乗りやすく、雄に乗りにくいという傾向があることから、雄で体外光をもつ個体は大変有用である。このようなポイントを押さえながら累代飼育を重ねていけば、体外光が乗る個体はきっと現れるはずだ。

  • オロチ

    • オロチ
    • オロチ
  • ラメ系メダカ

    • ラメ系メダカ
    • ラメ系メダカ
  • ブラックダイヤ

    • ブラックダイヤ
    • ブラックダイヤ

2018年、『ブラックダイヤ』と呼ばれるオロチと青ラメメダカを交配させて作出されたメダカが世にリリースされた。オロチの黒を基調とする体色に青ラメが輝く、まさに黒い宝石である。このメダカの作出までには4世代の累代飼育が重ねられており、その道のりが遠かったことが伺われる。このブラックダイヤに限らず、オロチにラメを乗せるという品種改良は、多くのメダカ愛好家の中で行われている。ブラックダイヤの作出を試みる際に気をつけることは、ラメメダカの親選びである。オロチの祖先は青メダカに近いことが知られているため、青メダカ血統に近いラメメダカを用いる方が作出までの近道となるはずだ。例えば、オレンジラメや白ラメを用いることはオススメできない。青ラメや黒ラメ、星河などを用いることをオススメする。‘‘オリジナル’’ブラックダイヤの完成形をイメージしながら、F1・F2・・・と累代飼育と選別を重ねていくことが重要である。

  • 松井ヒレ長

    • 松井ヒレ長
    • 松井ヒレ長
  • 錦龍三色(三色系メダカ)

    • 錦龍三色
    • 錦龍三色
  • 松井ヒレ長三色

    • 松井ヒレ長三色
    • 松井ヒレ長三色
  • 松井ヒレ長

    • 松井ヒレ長
    • 松井ヒレ長
  • 錦龍紅白(紅白系メダカ)

    • 錦龍紅白(紅白系メダカ)
    • 錦龍紅白(紅白系メダカ)
  • 松井ヒレ長紅白

    • 松井ヒレ長紅白
    • 松井ヒレ長紅白

松井ヒレ長のヒレ長形質をもちながら、三色・紅白体色のメダカ。未だに多くは存在していない品種である。というのも、元祖松井ヒレ長のパンダ形質と三色・紅白の形質の相性があまり良くなかったためだ。しかしながら、現在は松井ヒレ長の改良が進み、楊貴妃のような朱赤色の体色を持つ個体が現れている。そのような個体を松井ヒレ長の親として用いれば、作出への近道となるだろう。また、ヒレ長体型と普通体型の交配を行った場合、ヒレ長形質は劣性遺伝であるためF1では原則的にヒレ長体型は出てこない。ただし、F2では1/16の確率で必ずヒレ長体型の個体が出てくるため、目標が定めやすい異種交配でもある。伸びたヒレに三色・紅白の柄が現れる、あまりまだ誰も作ったことのないようなメダカの作出に挑戦してほしい。

  • 松井ヒレ長(黒系)

    • 松井ヒレ長(黒系)
    • 松井ヒレ長(黒系)
  • オロチ

    • オロチ
    • オロチ
  • サタン

    • サタン
    • サタン

オロチのように全身が真っ黒で、環境によってその体色が変化しない松井ヒレ長は、サタンと呼ばれている。元祖サタンは、松井ヒレ長黒蜂(ブラックキング)とオロチとの交配によって作出された。親選びの際は、とにかく黒が強い個体を選ぶこと、その一点に限る。先述の通り、F1ではヒレ長メダカは現れないが、必ずF2では出現する。F1、F2・・・を選別する際も、黒が強く、オロチに似た体色の個体を選ぶことが重要だ。またF2からはヒレ長個体が出現するため、ヒレの伸び具合にも要注意。また、松井ヒレ長黒蜂を親に用いた場合、黒蜂由来の黄色が入る個体が出てくる。好みの問題はあるが、真のサタンを目指すのであれば、このような個体は選別漏れとして扱う方が良いだろう。

  • 全身体内光もしくは百式

    • 全身体内光(幹之体内光)
    • 全身体内光(幹之体内光)
  • 幹之

    • 幹之
    • 幹之
  • 緑光

    • 緑光
    • 緑光

2017年、淡い緑色の体色を持った『緑光』『新緑光』などのメダカがリリースされた。全身体内光や百式などの体内光をもつメダカと幹之メダカの交配によって作出された。ミナミメダカやキタノメダカなど野生のメダカが持つ本来の褐色の体色に幹之などがもつ青い体色が加わることで、緑色を発現するようになったと言われている。もっと噛み砕いて言うならば、小学校の頃に誰もが行った水彩絵の具の調色のようなものだ。黄色と青色を混ぜると何色になるだろうか?親選びのポイントとしては、体内光・体外光ともに緑色に近い色を発現させている個体を見つけることである。全身体内光/百式と幹之は交配の相性も良いため、生まれてくる仔もある程度まとまった表現型を持ち、異種交配としての難易度は低めである。いつか目の覚めるような緑色をしたメダカが誕生するかも知れない。

  • 三色ラメ

    • 三色ラメ
    • 三色ラメ
  • 黄幹之(灯もしくはオーロラ幹之)

    • 黄幹之
    • 黄幹之
  • 三色ラメ体外光

  • 紅白ラメ

    • 紅白ラメ
    • 紅白ラメ
  • 黄幹之(灯もしくはオーロラ幹之)

    • 黄幹之
    • 黄幹之
  • 紅白ラメ体外光

    • 紅白ラメ体外光
    • 紅白ラメ体外光

文字通り、三色/紅白ラメに体外光が乗った美しいメダカである。先述のように体外光を乗せるという、最近トレンドの交配のひとつである。一度はチャレンジしてみたい。さて、この交配においてポイントとなるのは、三色系メダカや紅白系メダカを使わずに、三色ラメ・紅白ラメというラメ系メダカを用いることである。体外光を乗せるにあたり、最短ルートはやはりオーロラ幹之の血統を生かすことなのである。そのため、ラメ系メダカを用いる。親選びの際には、出来れば体外光がしっかり乗った黄幹之(灯・オーロラ幹之)の雄個体を見つけることが重要。体外光が乗った雄を元親として用いることで、F1、F2・・・の雄にも体外光が発現しやすくなる。また、三色ラメや紅白ラメの親を選ぶ際にも、背ビレの付け根などに体外光がぽつんと乗る『点光』が無いかじっくりと観察して欲しい。

  • 五式

    • 五式
    • 五式
  • 女雛

    • 女雛
    • 女雛
  • 新品種??

近年、これまでにない体色をもつメダカが数多く誕生している。ここで紹介する五式もそのひとつである。環境に左右されない黒い体色に、赤褐色のヒレをもった品種である。メダカの体色において、黒と赤との共演というのはこれまでは無く、あったとしてもその黒は環境に左右されていつしか消えてしまうようなものであった。つまり、この五式というメダカの存在自体すごいことなのだが、ここではこの五式のさらなる進化に挑戦してみよう。その進化とは、赤褐色を赤にグレードアップさせることである。そのために用いるのが女雛や紅薊などのしっかりとした赤が乗るブラックリム形質のメダカである。五式にもブラックリム形質が入っていると言われており相性も良い。F1、F2・・・と代を重ねるごとに赤をより濃くしていきたい。

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  • メダカ

  • メダカに合う水草

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