アンチグリーンを使った新しいコケ対策と除去、水草の成長促進も。

アンチグリーンを使った新しいコケ対策と除去、水草の成長促進も。


水草、特に前景草が照明やpH、栄養分といった条件を満たしているにもかかわらず、突然成長が止まることがあります。 この時、コケ取り生物の導入や換水と同時に、アンチグリーンを添加し、葉の表面をクリーニングすることによって、再び水草が成長することがあります。 本ページではそのメカニズムや、使い方や注意点、具体的な事例をご紹介します。


「アンチグリーン」商品についての詳細はこちら




◆◆ご注意◆◆
※使用にあたっては、適さない水草・生体もありますので注意点をよく読んでからお試しください。
※栄養系ソイルを使用している場合と、そうでない場合でかなり使用量が異なりますので、使用方法をよく読んでからお試しください。


目次



1.コケ対策と除去の概要、メカニズム


1-1.葉表面を顕微鏡で観察

成長スピードが落ちたと感じる水草の葉表面を顕微鏡にて観察すると、細長いラン藻がびっしりと付着していることがあります。 ラン藻は目で見ると面状に付着していますが、顕微鏡で見ると線・糸のような形状をしています。 また肉眼では藻類が見えない場合でも、葉表面を手で触るとヌルヌルしてることがあります。 その場合、細菌のような物体が葉に大量に付着している場合もあります。


葉表面に付着したラン藻
葉表面に付着する細菌だと思われる物体

1-2.アンチグリーンによってこれらのコケ、細菌類をクリーニング除去

葉表面にラン藻をはじめとしたコケ類、細菌類が多く付着した場合、炭酸ガスや養分の吸収を妨げると考えられます。 こういった水槽・水草に対してアンチグリーンを使用し、コケ、細菌類を除去することによって、水草の成長スピードが回復することがあります。 特に難易度が高い前景草の絨毯、マット、草原の成功率が高くなります。 また、アンチグリーンは水中の有機物を酸化分解し、最終的に水になるため、残留や着色が無い点もメリットです。


1-3.ラン藻の発生と地域の水

実は水草の育成、ラン藻の発生はその地域の水質によって難度が異なり、特に珪酸、硬度、硝酸、リン酸がどれだけ含まれているかによって大きく影響を受けます。 当社の試験水槽では硝酸が10ppm程度(非常に多い)含まれている水道水を使用しており、残念ながらこれらを栄養源とするラン藻が発生しやすい水質です。 このような地域では、本ページにご紹介しているアンチグリーンによるクリーニング方法が威力を発揮するようです。 逆に、これらの物質が少ない水(一般的に綺麗な水と呼ばれる)の地域では、そこまでしなくてもよい場合もあります。



2.使用方法


2-1.ラン藻の予防対策と水草の成長促進として

@水槽セット後、予防策として。または水草の成長スピードが落ちてきたと感じた時。アンチグリーン15cc / 60cm水槽(w600*d300*h360、栄養系ソイル使用時)を週1〜2回、換水後に添加。 この時、ろ過器、ポンプなどは動かしたままでも大丈夫です。 栄養系ソイルを使用していない場合は、分量を1/5〜1/3に減らして様子を見てください。
A2〜4カ月経過し、生物ろ過と水草の成長が安定してきたら、アンチグリーンの添加を一旦停止します。
B大規模なトリミングなど、水草の成長スピードが悪化したと感じ、ラン藻が発生し始めた場合、@にもどって再添加をはじめ、しばらく様子を見ます。


2-2.デメリット、注意点

栄養系ソイルで使用する場合、アンチグリーン取扱説明書に記載されている使用方法より添加量が多いため、次のことにご注意ください。


・水質に敏感なレッドビーシュリンプはじめビーシュリンプ類での使用は念のためお控えください。
・マツモ、ウィローモス類といった陸上葉を持たない水草・コケ類はアンチグリーンを添加することでダメージを与えてしまうことが多いためご使用をお控えください。 また、ボルビティス類も同じような傾向です。
・ソイルを使用しない水槽ではアンチグリーンの効果が強くでる傾向があります。 予防的使用の場合は3cc/60cm水槽(w600*d300*h360)に減らして様子を見てください。
・アンチグリーンで除去しにくいコケ類もあります。 これらのコケ類にはサイアミーズフライングフォックスやヌマエビ系(ろ過が安定した後導入)が効果的ですので、併用することをおすすめします。
・アンチグリーン使用直後は、水が白濁りする場合があります。特にろ材が新しく、生物ろ過が立ち上がっていない水槽では顕著になります。 そのときは換水頻度を少し多くすることをおすすめします(例:通常は週1回→週2〜3回)。 一か月程度経つと、この濁りは収まっていきます。

2-3.すでにラン藻が発生している場合

アンチグリーンの取扱説明書に記載されている方法でご使用ください。

アンチグリーン取説へ



3.コケ除去の実例集

新しいアンチグリーンの使い方によって、コケの除去に成功した事例をご紹介します。 すべて、60cm水槽(w600*d300*h360)にエーハイムクラシック2213を使用。 一回当たりの換水量は70%〜80%程度です。


3-1.事例1

  • 底床:栄養系ソイル
  • 照明:TWINSTAR 600E
  • 二酸化炭素:1滴/秒
  • 栄養剤:トロピカ茶液、緑液、カプセル
  • 換水頻度:週1〜2回
  • pH:6.0〜6.5
  • 水温:26℃

BEFORE
AFTER

ニューラージパールグラスに付着するラン藻

水槽立ち上げ後、1カ月後にラン藻が発生し、ヘアーグラスやストロギネ、ニューラージパールの成長が止まる。 その後、アンチグリーンによるクリーニングを施し、水草の成長が回復。そして写真(AFTER)のように。 水槽安定後は、換水を週1回、アンチグリーンは予防的に隔週に15cc添加。


3-2.事例2

  • 底床:栄養系ソイル
  • 照明:TWINSTAR 600E
  • 二酸化炭素:1滴/秒
  • 栄養剤:トロピカ茶液、緑液、カプセル
  • 換水頻度:週1〜2回
  • pH:6.0〜6.5
  • 水温:26℃

BEFORE
AFTER


ヘアーグラスにベッタリと着くラン藻

セット後1カ月後にラン藻が発生。 特にヘアーグラスは諦めそうになるくらい酷くラン藻が付着。 アンチグリーンによるクリーニングを施し、約2か月で写真(AFTER)のように成長が回復。 ヘアーグラスが伸びすぎている感はあるものの、状態安定後は換水を週1回行い、予防的に15ccのアンチグリーンを添加。 1年間維持中。


3-3.事例3

  • 底床:栄養系ソイル
  • 照明:TWINSTAR 600E
  • 二酸化炭素:1滴/秒
  • 栄養剤:トロピカ茶液、緑液、カプセル
  • 換水頻度:週1〜2回
  • pH:6.0〜6.5
  • 水温:26℃
  • ろ過材:立ち上がり済みのろ材を流用

BEFORE
AFTER

水槽立ち上げ後、約1.5カ月でラン藻が発生し、グロッソスティグマの成長が停止。 アンチグリーンによるクリーニングを施し、成長が回復。 ロタラ類、グロッソスティグマともに物凄い成長スピードで、アンチグリーンの予防的使用も不要なほど。 週1回の換水のみで半年間維持。水槽内の栄養成分がうまく水草に回っているものだと考えられる。


3-4.事例4

  • 底床:栄養系ソイル
  • 照明:TWINSTAR 600E
  • 二酸化炭素:1滴/秒
  • 栄養剤:トロピカ茶液、緑液、カプセル
  • 換水頻度:週1〜2回
  • pH:6.0〜6.5
  • 水温:26℃

BEFORE
AFTER

立ち上げから毎週1〜2回の換水後にアンチグリーン15ccを予防的に添加。 コケに悩まされることなく、順調に約4カ月経過(写真 AFTER)。 ただし、本水槽はソイルの使用量が通常より少なく、青華石も多く使用しているため、pHが上がりやすい要素が多い。 そのため、市販のpH降下剤を添加し、pHを6.0〜6.5に保つよう水質調整を行った。 たまに水質調整を忘れてしまう時もあったが、その時はニューラージパールグラスの成長が顕著に悪くなった。 アンチグリーンを予防的に添加するが、別の要素で水草の成長が悪くなった事例。


3-5.事例5

  • 底床:栄養系ソイル
  • 照明:TWINSTAR 600E
  • 二酸化炭素:1滴/秒
  • 栄養剤:トロピカ茶液、緑液、カプセル
  • 換水頻度:週1〜2回
  • pH:6.0〜6.5
  • 水温:26℃
  • ろ過材:立ち上がり済みのろ材を流用

BEFORE
AFTER

立ち上げから毎週1〜2回の換水後にアンチグリーン15ccを予防的に添加。 前の水槽同様、全くコケに悩むことなく完成。赤色の有茎草と、緑のヘアーグラスのコントラストが美しい。


3-6.事例6

  • 底床:栄養系ソイル
  • 照明:TWINSTAR 600E
  • 二酸化炭素:1滴/秒
  • 栄養剤:トロピカ茶液、緑液、カプセル
  • 換水頻度:週1〜2回
  • pH:6.0〜6.5
  • 水温:26℃
  • ろ過材:立ち上がり済みのろ材を流用

BEFORE
AFTER

立ち上げから毎週1〜2回の換水後にアンチグリーン15ccを予防的に添加。 前の水槽同様、全くコケに悩むことなく完成。 前景はヘアーグラスとキューバパールグラスの両方を植えたが、ヘアーグラスの勢いが強く、キューバパールは負けてほぼ見えない。 また、岩の上部からニューラージパールグラスが垂れて岩を覆いながら成長するねらいがあったが、アンチグリーンが得意としないコケに負けてしまい、リトライする。




アクアリウム水槽に発生する苔(コケ)の種類ごとの原因と対策

【苔(コケ)の種類ごとの原因と対策】

アクアリウムの悩みのタネであるコケについて、コケとはそもそもどんなもので、何が原因で発生するのか。また発生させないための予防策、発生してしまった時の種類別の対処法などより深く掘り下げて解説していきます。

アクアリウム水槽に発生する苔(コケ)の除去や掃除をしてくれる生物たち

【苔(コケ)の除去や掃除をしてくれる生物たち】

コケ取り生物にスポットを当てて、それぞれの生物が好んで食べるコケの種類や導入匹数の目安、導入時の注意点などをご紹介していきます。

PC / スマートフォン