ムカデ專食 ジムシヘビ


 

ジムシヘビ。実に鮮やかな美麗種ですが、食性はかなりの変態です。



ジムシヘビとは?

ジムシヘビ Scolecophis atrocinctus とは、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカに分布する全長50pほどのナミヘビ科のヘビで、 海外では“Black Banded Snake”や“Central American Banded Snake”、“Centipede Snake”などと呼ばれています。

和名の『ジムシ』とは『地蟲』のことです。地蟲とは、本来は甲虫の幼虫の総称でしたが、一般ではミミズやヤスデ、ムカデなども含むため、 本種の食性より名付けられたのでしょう。そう、本種は地蟲の一つであるムカデを専食にしている、非常に奇妙な生態を持ったヘビなのです。



頭部は平たく、力強い顎を持っています。つぶらな瞳がかわいいですね。

 


飼育方法

飼育環境

流通しはじめたのが近年(2014年頃)であり、飼育データなどほとんどありませんが、当社での飼育環境を説明します。

地上性で、野生下では比較的多湿な森林で見つかることが多く、森林の倒木や植物の根の中に潜んでいるそうです。飼育下ではミズゴケや爬虫類専用マットなどを湿らせて敷き詰め、 シェルター(隠れ家)を設置してやるとよいでしょう。夜間に水に浸かっていることもあるので、水入れは常設しましょう。夜行性なので強い照明は必要ありません。蛍光灯タイプのものを使用するとよいでしょう。

温度に関してはいまひとつ適温がわからないのですが(低温はもちろんのこと、高温にもちょっと弱そうなイメージがあります)、当社では飼育温度は日中は27℃〜28℃、夜間は25℃に設定していました。



ちょっと狭いですね。この倍くらいの広さは欲しいです。
水入れは念のため大き目のものを設置しています。
 


エサについて

先述したように、ジムシヘビはムカデを食べます。他の昆虫では駄目なのかと思い、コオロギ、ゴキブリ、イモムシ、ヤスデなどを与えてみましたが、どれにも興味を示しませんでした。 また、個体によって好みもあるようで、冷凍のムカデでも問題無く食べる個体もいれば、小さなムカデしか食べない個体などもいました。

給餌の際はムカデがヘビに咬み付く事があるので、大き目のムカデを与える際は、毒牙(顎肢)を取り除いた方がよいでしょう。



魅力的なヘビですが、エサの確保がちょっと難しいかも知れません。
 


さっそくエサを与えてみましょう♪

エサを与えてみましょう。すごく気持ち悪い・・・じゃなくて、ちょっと刺激的な画像が続きますので節足動物が苦手な方は注意してください。



















私が山で捕まえてきたトビズムカデを与えてみます。
サイズがちょっと大きいので、ムカデさんの毒牙(顎肢)
をニッパーで切り取ります。

ムカデさんを見つけると、即座に飛びかかって咬み付きました。

器用に下顎を動かして、ムカデさんの頭部を探しています。

頭部を見つけてグイグイ飲み込んでいきます。
ムカデさんも喰われまいと肢を水入れに引っかけて抵抗しています。

抵抗も虚しく、あと少しで全部飲みこまれてしまいそうです。

あと僅かですね。しかし、ムカデなんて食べて、
消化に困らないのでしょうか?結構硬そうですが・・・

ごちそうさま。ここまでかかった時間は約30分でした。
ヘビさんお疲れ様。ムカデさんもありがとうございました。
 


偉大なる進化の結果です

ムカデを食べるヘビ…知らない方はちょっとびっくりされたかも知れませんが、ヘビ全体から見れば、ムカデを食べる種類はさほど珍しい存在ではありません。本種の他にもアフリカにムカデクイというヘビがいますし、 中央アメリカにはサソリクイというものもいます。他にもサンショウウオしか食べないとか、脱皮直後の甲殻類を好むなんていう極端なものまでいます。

ヘビの食性には、特定の餌しか食べない『専門屋』と様々な種類を食べる『何でも屋』が存在します。国産を例に挙げると、ミミズしか食べないタカチホヘビや、 トカゲを好むシロマダラなどは前者に属し、魚類からカエル、小型哺乳類まで食べるヤマカガシやアカマタなどは後者に属すると言えるでしょう。

ヘビの食性の多様さは、彼らが厳しく永い進化の過程で、生き残るために編み出した戦術です。私はこういった不思議なヘビを見るたびに、大自然の偉大さを感じずにはおれません。


いやぁ、素晴らしい!ヘビの捕食シーンはいつ見ても感動的!
と思う私は少し変でしょうか?
 


ヘビの在庫状況はこちら



PC / スマートフォン