気になる活きエサを洗う

気になる活きエサを洗う

活きエサには様々なメリットがありますが、一方で菌などの持ち込みによるトラブルといったデメリットが気になる方もいると思います。ここではそのような不安要因について考え、その不安要素をなるべく減らすための対策として、活きエサを洗ってから魚に与える方法を紹介します。活きエサを与えるときの失敗を減らして活きエサの良さを最大限に活かしましょう。

1. 活きエサとは

活きエサは魚が喜ぶエサとして重宝され、種類は様々ありますが、ここでは一般的に支持されている活きエサの代表的なものとして、ブラインシュリンプ(アルテミア)、ワムシ、ミジンコ、ミジンコウキクサ、イトメといった水中で生きていて稚魚や成魚たちのエサとして使われることが多い活きエサの共通点について考えたいと思います。

1-1. 活きエサのメリット

・水を汚しにくい
・嗜好性が高い
・消化吸収が良い
・栄養価が高い
ほかにも動物/植物プランクトンなどの活きエサは、稚魚の生残率を上げるというメリットもあります。

1-2. 活きエサのデメリット

・入手方法が難しい
・維持管理の手間がかかる
・病気やトラブルを持ち込む可能性がある

2. なぜトラブルを持ち込むのか?

メリットが豊富な活きエサなのに、どうして病気やトラブルの要因のように言われているのでしょうか?活きエサがどこから来たのか、生息していた環境をもとに考えてみたいと思います。

2-1. 天然採取の活きエサ

ミジンコは田んぼの水たまりの中、イトメは川の脇の泥の中など、天然採取できる活きエサは水の淀みがある環境に多く存在しています。こういったところは汚れなども含めて色々なものが留まり、殖えやすため、中には魚の病気のもとになる菌なども存在していると言えます。ミジンコやイトメもエサを食べていますから、こういった菌を一緒に体内に取り込んでいる可能性は十分にあります。

2-2. 培養された活きエサ

ブラインシュリンプ(アルテミア)やワムシ、ミジンコ、ミジンコウキクサなどの多くは、アクアリウムショップに来るまでの間、またはショップでの購入後、止水環境で培養されるパターンが多いでしょう。このような環境は一定で限られた閉鎖環境のため、天然と比べて繁殖する虫や菌の種類が限定されるなどリスクは低いものの、それでも止水でフィルターを使っていないという点で、綺麗で安心とは言えない環境です。

3. 活きエサを洗うメリット

そこでこれらの活きエサを魚に与える際に、病気のもととなる菌の持ち込みを減らすためにできる対策を考えてみました。活きエサの種類によって与え方を変えている人もいると思いますが、ここでは、ミジンコを例に、しばらくの間、綺麗な水に漬けて置くという方法(=洗い方)を試してみました。

3-1. ミジンコを洗った効果

足し水のみの止水環境で培養してきたミジンコを、洗ったものと洗っていないものを用意し、それぞれを水槽に入れた想定の条件下で、どれくらい差があるのかを調べてみました。下記は、水中の生菌数を比較したものです。

左:洗ったミジンコを入れた水・右:洗っていないミジンコを入れた水

試験条件

みじんこ増殖エキス plus を使用して3週間経過した培養槽中のミジンコを使用。
(足し水のみ、止水環境、エアレーションなし)
試験管滅菌水10mlにミジンコ10匹ずつを入れた試験水1ml中の生菌数を比較
※試験のため、実際の飼育水槽へ与えるミジンコより多く投入しています。

洗ったミジンコを入れた水中の生菌数 9500個/ml
洗っていないミジンコを入れた水中の生菌数 46100個/ml

試験結果

ミジンコを洗ったことで、約1/4まで菌数を減らすことができたと分かりました。綺麗な水に浸け置いている間にミジンコの周りに付いている菌やミジンコ体内の菌が落ちて、水槽内に持ち込む菌数が減ることで、魚へのトラブルも抑えられると考えられます。

3-2. 洗うと効果が出やすい活きエサ

特にここで試験したような換水頻度が少ないミジンコの培養水は、菌が増えやすい環境と言えるので、このように綺麗な水に浸ける(=洗う)対処法をしてから使用することには大きなメリットがあります。
またイトメもその生息環境から考えて、このような洗い方をして対処する事で、効果が得られやすい活きエサだと言えます。

左:浸け置き洗いをしたイトメを入れた水・右:浸け置き洗いをしていないイトメを入れた水

試験条件

ある程度洗い済みのイトメを使用。(手のひらサイズの塊を定期的に換水しながら1日以上置いたもの)
試験管滅菌水10mlにイトメ0.8p×2匹ずつを入れた試験水1ml中の生菌数を比較
洗ったイトメを入れた水中の生菌数 600個/ml
洗っていないイトメを入れた水中の生菌数 1300個/ml
※ある程度洗い済みのイトメを使用していますが、給餌分(親指の先分程度)だけを取り分けて30分、綺麗な水に浸けておくだけでも菌数に2倍の差が出ました。

そのほかアルテミアやワムシなどは一般的に濾してから使われることが多いと思いますが、培養水の状況によってはこのような対処法をプラスすることで気になる不安要素を抑えられるかもしれません。

4. 活きエサを洗う方法

今回、上記の試験でミジンコを洗った方法を紹介します。

4-1. 用意するもの

・温度を合わせた水 (綺麗な置き水を予め用意しておくと良いです)
・プラケースなどの容器 (約1L)
・みじんネット
・スプーン

4-2. 方法

  • @予め綺麗な置き水を用意しておきます。
  • (ミジンコ培養水と同じ水質・水温・カルキ抜き済みのもの)
  • Aプラケースなどの容器(約1L)に用意していた@の水を入れます。
  • Bみじんネットで必要な分のミジンコを培養水から掬います。
  • CAの上にみじんネットを置き、網の中でミジンコを泳がせて30分以上置きます。
  • D水を切り、みじんネットからスプーンでミジンコを掬って魚に与えます。
  • ※3の試験結果は、30分置いた場合の結果です。30分以上浸けて置くことを推奨します。
  • ※水道水などの流水で洗うと、水温の違い、水流、残留塩素などの影響で活きエサが死んでしまうことがありますが、この方法であれば、元気で活力のある状態のまま魚に与えることができます。
  • ※ミジンコの場合は30分〜1時間置くことで十分効果は得られます。それ以上置いても元気に泳いでいることが多いですが、なるべく早めに使い切りましょう。イトメの場合は、適温の水を換えながらであれば長時間浸けていても問題はありません。

5. まとめ

みじんネットが1つあれば、簡単に出来て効果がある、活きエサの洗い方と効果を知っていただけたと思います。気になる方やデリケートな魚を飼育していて菌を持ち込まない方法で活きエサを与えたい場合に効果的な方法です。
魚が喜ぶ活きエサを存分に与えられるよう、お役立てください。

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