渓流や滝など 水の流れるアクアテラリウムのつくりかた
現在、アクアテラリウムは様々なタイプのものがありますが、ここでは、立体的な、水の動きや石の形状を活かしたレイアウトのつくりかたを紹介します。
リオプラスポンプに接続して水の動きを自由につくっていけるリオプラス専用 テラリウム用接続パーツセットと、
自然の形を活かすことができる吸水石を使った例です。
吸水石は、石を組み合わせるだけで自然な岩肌を活かしたレイアウトがすぐにできますし、削ることもできるので立体感を表現しやすく、土のように崩れることがないのでアクアテラリウムに適しています。
自然の小川や滝など、流れる水を表現するアクアテラリウムをつくりましょう。
目次
1.準備するもの
- ・30cmキューブ水槽
- ・水槽フタ
- ・リオプラスパワーヘッド
- ・リオプラス専用 テラリウム用接続パーツセット
- ・吸水石レイアウトセット
- ・液状接着剤
- ・補助材
- ・苔や観葉植物、水苔など
- ・ゼリー状接着剤 黒または緑
- ・はさみ・ピンセット
- ・手袋(ゴム製など)・マスク(必要に応じて)
1-1.リオプラス専用 テラリウム用接続パーツセット
リオプラス専用 テラリウム用接続パーツセットは、アクアテラリウムに水の配管をおこなうために使用します。
水流を分岐したり、チューブを好みに調整して自在に配管することができるほか、止水栓を使って吐出口の数を調整することも可能です。
またリオプラスパワーヘッドシリーズ(Rio+50〜Rio+800)に接続して使う仕様になっているので、用途に合わせてポンプのサイズを選択していただくことができます。
- Rio+50、90:30cm以下の小型水槽や、20cm以下の低いレイアウトの場合、
点滴など流量を少なくしたい場合。 - Rio+180、200:30cm〜60cm程度の水槽や、20cm〜30cm程度の高さのレイアウトの場合、
適度な流量にしたい場合。 - Rio+400〜800:90cm程度の水槽や、30cm近く高さのあるレイアウトの場合、流量を多くしたい場合。
【リオプラス専用 テラリウム用接続パーツセットの内容】
- ・分岐接続パイプ(6穴)
- ・止水栓(5個)
- ・接続コネクター
- ・キスゴム
- ・チューブ
リオプラス専用 テラリウム用接続パーツセットの詳細はこちら
2.つくりかた
石を組んで接着して、小さな滝が見える自然の風景を30cm水槽に収めます!
2-1.滝、渓流、湧き水など 水の流れのつくりかた
吸水石を使った水の流れのあるアクアテラリウムをつくる場合、主に2通りの方法があります。
【彫って、滝や渓流のような傾斜をつくる】
吸水石はノミとカナヅチを使って削ることができます。(詳しい方法はこちら) 自然の風合いが特長的な天然石のため、個体によっては自然にできた溝や筋目があったりします。 こうした部分を活かしながら、思い通りに水の流れる溝を作って上流側に配管すれば、滝や渓流のイメージができあがります。 このとき滝らしさを出すには、上流側から多くの水を流したほうが演出できるので、大きめのポンプを使うか、吐出口を数本まとめて上流から水を流すようにすると良いです。
【配管のみで、小さな滝や湧き水をつくる】
石を彫ったりせず、チューブから流れる水だけで小さな滝や湧き水といった水の流れを表現することができます。 チューブを好きな場所に配置して水を流すだけですが、石と石の間から水が流れ出るようにチューブを配置するだけで小さな滝のようなイメージができます。 また石の上を水が這って落ちるようにチューブを配置すると、石の先から水が滴り落ちるような演出も可能です。 石を組むときに水の流れを想像しながら組んでみると良いです。
2-2.石組み、配管の方法
【石組みの方法】
まずどのような水の流れをつくるかイメージして液状接着剤と補助材を使用して石を組んでいきます。(接着方法などは、こちら)
少し大きめの石が高いところにくるように組むと、滝のような流れ方もつくりやすくなります。
滝や渓流のような傾斜は、石を彫るなど先に加工をしておいてから、その石が置きたい高さにくるように他の石を組んでいきます。
石の間から流れ出る小さな滝は、予め石と石の間にチューブを挟むようにしてつくると、あとからの配管がラクになります。
石の先から水が滴り落ちる滝は、少し大きめの石を、オーバーハング気味に外側へ突き出るように、さらに傾斜をつけて組むとそれらしくなり、石の縁や先から水が滴り落ちやすくなります。
石組みをある程度組んでイメージができたら、細かい部分は水槽内で調整していきます。
ポンプを置く場所と、メンテナンスがしやすいスペースを把握して確保できるようにしておくことが大切です。
【配管の方法】
石とポンプの位置関係を確認したら、水を出す場所(チューブを置く場所)を決めます。
このとき、試しに水を流して水の動きを確認しても良いでしょう。
チューブの場所を決めたらチューブの先端を石に接着します。
石組みの接着で使用している補助材を、石とチューブの間に挟み入れ、液状接着剤を浸み込ませてそのまま硬化させます。
チューブの黒い部分が見えなくなるように周りを全て補助材を使って固めるようにすると、抜けにくくなって安心です。
吸水石の場合は、ベージュ系の補助材が目立ちにくくて合わせやすいです。
また、吸水石は水を吸うので、石の裏側に配管するだけで表側にも ある程度水を行き渡らせることができます。 チューブを前に持ってくる必要がなく、シンプルで目立たないようにできるほか、苔にとってもちょうど良い湿り具合をつくりやすい配管方法です。
チューブは、付属のキスゴムに通して水槽の壁面(裏)などに固定することができます。 正面から見てチューブが見えないようにしたい場合、ホースがぶらんぶらんしてしまう場合などに便利です。
分岐には止水栓が付属しているので、お好みで吐出口の数を調整可能です。
チューブの配管ができたら、水槽内で水をためてポンプを作動し、全体の水の循環を確認します。 接着はラジオペンチなどで外すことができるので、ここで水がイメージ通りの動きをしていなければ やり直すことも可能です。
例えば、水の勢いが強すぎた場合には、チューブの吐出口の前に小石を接着することで、水流を遮って弱くすることができます。
2-3.アクアテラリウムにおすすめの苔・植物
水の流れが確認できたら、苔や植物を配置していきます。
湿潤な場所、乾き気味な場所などそれぞれの場所にあった苔や植物を置いていきます。
斜面など苔が張り付きにくい箇所には、ゼリー状接着剤を使用して接着します。なるべく接着点を細かく、分散して接着するようにすると苔を傷めにくいです。
比較的丈夫で使いやすいものを例にいくつかあげると、下記のような苔や植物がおすすめです。
・アラハゴケ、タチゴケ
比較的乾燥気味な場所が向いているため、レイアウトの上の方に置くのがおすすめです。アラハゴケは明るい場所に置くと緑が鮮やかでフサフサになって美しいです。
・ハイゴケ、ヒメハイゴケ、シノブゴケ
比較的乾燥にも強いですが、湿潤な場所でも明るい環境であれば問題なく、比較的幅広い環境で使いやすい丈夫な苔です。
・コツボゴケ、ツヤゴケ
比較的湿潤な場所で綺麗に育ちます。乾燥気味な場所に置く場合は、こまめに霧吹きをおこなうことでよく育ちます。環境が合うと広がるスピードも速いです。
・ウィローモス、ヤワラゼニゴケ
水中でも育てられるので、湿潤な場所でもうまく育ちやすい苔です。ウィローモスは水が滴る場所に配置すると自然の雰囲気がよく出ますし、 他の苔を上から重ね置きする場合の下地としても向いています。ヤワラゼニゴケは重なるように殖えていくのでボリュームが出て透明感のある深緑が美しいです。
・フィカスプミラ ミニマ
這うツタ系の植物です。アクアテラリウムでは乾燥気味な場所を埋めるのに重宝します。石や流木に絡まって活着しやすく、成長も早いので、殖えたらカットして整えます。
・トキワシノブ、ネムノキ、レックスベゴニアMIXなど
観葉植物各種、抽水で育てられる丈夫なものがおすすめです。
↓そのほか取り扱いのある植物は下記をご確認ください。
苔を置くと水の流れ方が変わることもあるので、全体に苔や植物を置いた時点で、細かい部分の調整をしておきましょう。
3.失敗しないために
3-1.フタを使用する
苔を中心としたアクアテラリウムの植物を育てるには、湿度90%近くを保つことがポイントです。
冬季の室内は特に乾燥するので、フタは必須です。
夏季でもエアコンを使用すると空気は乾燥しますので、フタを使用することをおすすめします。
ただし密閉してしまうと水槽壁面が曇ってしまうので、少し隙間を開けるようにして曇るのを防ぎます。
3-2.明るい照明を使用する
苔にも照明は必要です。 日陰で育つイメージの強い苔ですが、明るい光をたくさん浴びることできれいに成長します。 苔は特に環境の変化や対応に時間がかかるものなので、水槽セットした初期から明るい照明を使用することをおすすめします。 その際、苔の焼けや乾燥を防ぐためにもフタを使用しましょう。
苔は徐々に時間と共に上や横に伸びていきます。
適度にカットして、その苔を周辺や別の箇所に置いていくようにすれば苔が密に広がって美しくなります。
苔は水草のように成長スピードが速いわけではないですが、
そのゆっくりとした成長ペースの中にある微かな変化を発見する楽しみがあります。