モコモコの肉瘤と短いヒレ、ずんぐりとした丸い体型のらんちゅうは、金魚界の王様として君臨する品種です。 先人たちの並々ならぬ努力により、背びれが無い、独自の美しさをもつらんちゅうという品種 が作り上げられました。 現在でもなお、らんちゅうはたくさんの熱心な愛好家が魚の細部にいたるまでこだわりをもち、品種改良が続けられています。
らんちゅうの各部名称と見方の例
らんちゅうは日本だけでなく海外でも愛されており、種類によって評価すべきポイントや見方はさまざまです。日本でも系統によってらんちゅうを見るポイントは異なりますが、品評会などへ出品を目指す場合の見方の例を紹介しますので、お気に入りのらんちゅうを選ぶ際の参考にしてみてください。
- 目幅(めはば):頭の大きさに関わる部位で、全体の格好良さを決めるための重要な部位の1つです。 品評会では全体が箱型になっている個体が良しとされているため、背幅に対しちょうど良い目幅が求められます。 目幅が狭いと頭も小さくなってしまい、上見での全体の均等が損なわれます。
- 吻端(ふんたん):成長に伴い発達します。左右均等に大きく発達するものが良しとされ、白い吻端より赤い吻端のほうが大きく発達しやすいです。
- 目先(めさき):上見での印象に大きく関わり、吻端の発達が良く目先が前に出ているものほど上品に見られ、全体の型も良くなります。
- 肉瘤(にくりゅう):らんちゅうの頭全体を覆うように付きます。肉瘤の出方や頭全体の形により幾つかの系統に分類されます(「頭」参照)。
- 頭(あたま/かしら):肉瘤の発達度合いで印象が変わり、その付き方(頭付き-カシラツキ-)により呼び方も違います。 全体的に肉瘤が大きく発達した個体は「獅子頭(シシガシラ)」、目先・吻端が発達し上見で頭全体が四角く見える個体は「龍頭(タツガシラ)」、頭頂部が大きく発達し頭巾を被ったように見える個体は「兜巾頭(トキンガシラ)」と呼ばれます。
- 背幅(せはば):体の太さに関わる部位で、背幅が広く腹付きも良い太い個体は「ど太(ぶと)い」と呼ばれます。 背幅のバランスが良く鱗の並びも綺麗に揃っている個体ほど美しさが際立ちます。
- 背下がり(せさがり):横見での背なりに関わる部位で、背なりが尾まで全体的に滑らかになっているものが良しとされます。 背下がりが背なりより上がってしまっている個体は「尻上がり」や「腰が立っている」と言われ、泳ぎの不良にもつながります。
- 腹下がり(はらさがり):太っている個体ほど良く発達し、性成熟した雌も卵を持つためにより大きく発達します。全体的な型の良さを出すには「太すぎず、細すぎず」が重要です。
- 尾肩(おがた):尾の型に関わる部位です。左右の付き方に偏りが無く、張りすぎずふわっとしている(前がかりがある)のが良しとされます。尾肩が良いと泳ぎも良くなります。
- 尾筒(おづつ):上見では尾筒が太いほうが良く見え泳ぎも力のある泳ぎをしますが、尾全体の美しさを出すには太すぎるのも欠点となります。腹下がり同様「太すぎず、細すぎず」が重要となってきます。
- 尾皿(おざら):尾の形を決める重要な部位です。成長に伴い面積が大きくなりますが、個体により小さいままの場合もあります。尾皿の面積が広くしっかりとしたものが良しとされ、面積が広いと尾肩の型も良くなります。
- 尾先(おさき):尾鰭の中でも特に柔軟な部位で、この部位が内側や外側に向け顕著に丸まっているものは「まくれ(内まくれ、外まくれ)」と言われます。尾がまくれている個体は見た目が良くない他、成長段階では尾や体の曲がり、泳ぎにも影響します。
- 尾芯(おしん):尾の形が決まる部位です。上見で魚体に対し後方へ向かって付いているものが良しとされます。尾芯が曲がっていたり左右に傾いたりしていると尾全体の曲がりにつながります。横見では、尾芯が体と並行に付いていると尾が平らな付き方になり「平付け(ヒラヅケ)」と呼ばれます。平付けよりも尾芯がしっかり立っているほうが美しく、尾筒・尾肩もよければ力のある良い泳ぎになります。 尾筒から先端までのつき方(鰭の割れ方)により尾の呼び方も変わり、先だけ割れる形を「桜尾(サクラオ)」、8割方割れている形を「四つ尾(ヨツオ)」、全く割れていない形を「三つ尾(ミツオ)」と呼びます。三つ尾の尾芯の左右がくっついてしまっている形は「ツマミ」と呼ばれ、見た目が良くないため、品評会への出品を目的とした育成においては生産時の選別で対象外となります。
頭
吻端の肉瘤が大きくしっかりしている 「龍頭(タツガシラ)」が人気!
体
胴の幅は太く、全体のシルエットが 箱型のように整っている個体が良し!
尾
尾肩の張りは、強すぎず弱すぎず。 ふわっとしている個体が良し!
金魚のオスメスの見分け方
金魚は性成熟すると、オスとメスそれぞれに体格差が出てきます。 オスは胸ビレやエラ付近に追星が出てきますが、メスには出てきません。ですがメスは卵を抱えるようになるので、オスよりお腹が大きくなります。
- 【追星(おいぼし)】
オスは性成熟すると胸ビレや鰓蓋付近に追星(おいぼし)と呼ばれる白い突起が出てきます。 - 【体型】
メスは卵を抱えるようになるのでオスよりもお腹が大きくなります。 - 【総排泄孔】
メスは卵を産むために産卵管が発達し丸くふくらみます。
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