ランチュウ
モコモコの肉瘤と短いヒレ、ずんぐりとした丸い体型のランチュウは、金魚界の王様として君臨する品種です。
赤、白、更紗のランチュウ以外にも、キャリコ柄は江戸錦、桜柄は桜錦、白透明鱗のミルクランチュウ、といった具合で、充実した色のバリエーションが揃っています。
黒ランチュウ真っ黒はタイで作られて輸入され、漆塗りのような黒さがウリです。
ランチュウ体型の品種が他と大きく異なるポイントは、背ビレが無いことです。
金魚の祖先とされるフナをはじめ、通常、魚類には背ビレがあります。
背ビレは水中での姿勢を安定させるなどの重要な機能をもちます。
ところが、ランチュウには背ビレがありません。
重要な機能をもつ背ビレがないということは、とても大きな変化だといえます。
ランチュウの卵からふ化してくる稚魚を育てると、なめらかな曲線の背中の子だけではなく、背中にツノのようなとんがりがある子や、背中が波打つようにボコボコした子が生まれてきます。
これは、いわゆる”先祖帰り”と言われています。つまり、原種であるフナに戻ろうとする因子が働き、生まれてくる子の一部に背ビレの名残りがあるような子が出てくるのです。
先人たちの並々ならぬ努力により、背ビレが無く、かつなめらかな背中のランチュウという品種が作り上げられました。
現在でもなお、ランチュウはたくさんの熱心な愛好家が魚の細部にいたるまでこだわりをもち、品種改良が続けられています。
ランチュウの愛好会は日本各地に存在していて、その数は他の品種の愛好会と比べてダントツで多いです。
また、ランチュウだけの全国大会も開催されるほど、日本中に熱心な愛好家が存在します。
その品質の高さは中国で作られるランチュウと区別されるほどで、海外では英名で”Japanese Ranchu”と表記されます。
国内の生産地の中でも愛知県・浜松地方は有数のランチュウ愛好家が集まる土地で、
そこで作られるランチュウは浜松ランチュウとして流通しています。
晩春から初夏にかけて、国内産ランチュウの稚魚が青仔や黒仔として流通します。
青仔や黒仔は、体の色が赤や白に変化する前の個体です。
どんな色に変化するのか、飼育しながら体色の変化の様子を観察する楽しみがあります。
背ビレがなくて頭がもこもこした丸っこい金魚、ランチュウは、
横からだけでなく、上から見て楽しむことが出来ますよ。
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