水玉模様が可愛い キボシサンショウウオ
キボシサンショウウオ。北米大陸を代表する有尾類の一つです。
キボシサンショウウオとは?
キボシサンショウウオとはトラフサンショウウオ科トラフサンショウウオ属に分類されている有尾類の仲間で、カナダからアメリカ合衆国テキサス州まで分布しています。英名では “Spotted Salamander” と呼ばれ、
国内でもスポットサラマンダー、もしくはスポッテッドサラマンダーの商品名で流通しています。
全長は15cm〜23cmほどで、透明感のある黒地に鮮やかな黄色い斑紋が20個〜30個ほど並んでいますが、本来この模様は外敵に対する警戒色です。
中には斑紋が60個以上ある個体や、逆にほとんど模様を持たない個体も発見されています。
野生下では河川や渓流など水場近くの森林に棲んでおり、日中は落ち葉や倒木の下などに潜み、夜間にミミズやクモ、陸貝などを捕食していると考えられています。繁殖期は、冬から春にかけてで、水場に移動します。
キボシサンショウウオは、その美しさから古くから研究されてきただけで無く、ペットとしても比較的古い歴史があります。北米大陸を代表する両生類の一つと言えるでしょう。

ペットとしても比較的古い歴史があります。
飼育方法
飼育環境
比較的不活発であり、立体活動もほとんど行わないので、飼育ケージは底面積を重視したプラケースや小型水槽などが適しているでしょう。
床材としてたっぷりと湿らせた水苔などを敷き詰め、隠れ家を設置しただけのシンプルな環境で飼育できますが、その気になれば垂直なガラス面も張り付いて登ることができるので、脱走には注意が必要です。
夜行性なので光源は必要ありません。照明を設置する際には、蛍光灯タイプの物を使用し、ケージ内が高温にならないよう注意しましょう。水場も必ずしも必要と言うわけではありませんが、念のためにケージの隅に設置してもよいでしょう。

静寂を愛する生物なので、そっと見守りましょう。
高温&蒸れはNG
キボシサンショウウオは若干神経質な一面はあるものの、飼育そのものはさほど難しくありません。ただし、蒸れと高温には注意が必要です。
まず蒸れに関してですが、有尾類の仲間は湿った環境を必要としますが、蒸れには非常に弱い一面があります。ケージの蓋などは通気性の良いものを使用するようにしましょう。
続いて温度に関してですが、北米、アジア、ヨーロッパ地域に生息する有尾類のほとんどは高温に強くありません。適温は16℃〜23℃前後でしょう。夏場の高温には注意が必要です。

温度調節をしましょう。愛好家の中にはワインセラーを
利用して飼育している方もいます。
直接手で触らないで
先述したように、有尾類の仲間は高温には強くないので、カミハタでは直接手で触らず、小型ケースなどに入れて移動しています(極端な例ではありますが、一部の種類では人間が触った箇所が火傷のような症状を引き起こした例もありました)。 なお、両生類の仲間は皮膚から分泌する粘液に毒性があるものが少なくありません。様々な理由から、直接手で触るのは避けた方がよいでしょう。

エサについて
ミミズ、ハニーワーム、コオロギなどを食べます。飼育開始当初は特にミミズに反応しますが、ミミズはエサ専用の物か、自分で採集した物を使用しましょう
(釣餌用のものは使用しないほうがよいと思います)。コオロギなどは後ろ足を取り除き、動きを遅くしたものを与えましょう。
慣れればレオパゲルやツノガエルのエサのほか、熱帯魚用のエサ(キャットやカーニバルなど)を水でふやかした物も食べるようにもなります。
これら人工飼料に餌付いてくれれば、管理が容易になりますが、単一のエサを与え続けるのは心配なので、様々なものをバランス良く与えるようにしましょう。

いろんなエサを与えてみましょう。
お気に入りの個体を探そう
キボシサンショウウオの模様は千差万別で、二つと同じものはありません。お気に入りの個体を探したり、ケースを並べてコレクションするのも楽しいです。


産地による違いでしょうか?

お気に入りの一匹を探すのも、楽しいですね。
和名について
この『両生類・爬虫類解説シリーズ』もそれなりに回数を重ねてきましたが、時々悩むのが紹介する動物の和名についてです。実は、海外の両生類や爬虫類などには、決められた標準和名というものがありません。その時代や販売者によって様々です。例えば今回のキボシサンショウウオですが、 現在ではほとんど販売店では英名の“スポッテッドサラマンダー”を使用しています。しかしながら、キボシサンショウウオの和名は昭和40年には存在していました。私は何か特別な理由が無い限り、なるべく初期に与えられた和名を使用し、その他のものは本文中で紹介させていただくようにしています。
