謎多き妖怪 カッパヘビ
南米に生息するカッパヘビは見た目も変ですが、生態も謎に包まれています。
カッパヘビとは?
カッパヘビ Pseudoeryx plicatilis とは、マイマイヘビ科カッパヘビ属に分類されるヘビで、コロンビアやペルー、ボリビア、パラグアイ、ブラジルなどに生息しており、全長120pほどに成長するようです。
ほぼ完全な水生種と考えられており、大きな河川よりは水草の多く生えた小川や水たまり、用水路のような環境に多いと言われています。
カッパヘビの名前の由来は妖怪の『河童』に似ているからだそうですが、私は河童を見た事が無いのでよくわかりません。海外では“South American Pond Snake”や“Orange−Bellied Water Snake”、“Amazon Mud Snake”などと呼ばれています。
永らくカッパヘビ属は一種のみで構成されていましたが、2007年に南米大陸最大の湖であるベネズエラのマラカイボ湖より新たにハナレカッパヘビP.relictualisが記載されました。こちらは流通例がないため、今回はカッパヘビについて紹介したいと思います。






退色してクリームイエローになっています。
カッパヘビの流通
私の知る限りでは、カッパヘビがペットトレードに登場したのは2002年ぐらいだったと思います。その後も少数が流通していますが、非常に変動的です。もちろんブリーディングなども行われていません。 流通するサイズは30〜40pほどの幼体が多く、大型個体は稀です。以前、海外の愛好家にカッパヘビを飼っていることを伝えたら「そんなヘビ見たこと無い!」と、大変驚いていました。確かに私も日本以外ではアメリカで2回見かけたことがあるだけです。

飼育方法
飼育環境
私のわかる範囲で説明します…というのも、カッパヘビは生態などほとんどなにもわかっていないのが現状です。そんな生物がペットトレードに乗るというのも凄いことですよね。
あまり活発ではありませんので、幼蛇ならば大き目のプラケース。全長50pほどの個体ならば、60p水槽サイズでよいでしょう。陸にあがることもほとんどないようですが、蓋は必須です。
水深には諸説ありますが、私はあまり深くないほうがよいと思います。というのも、カッパヘビは水生ではあるものの、動きはぎこちなく、
あまり泳ぐのが得意ではないような印象があります。あまり深いとヘビの体力を消耗させてしまうかもしれません。幼蛇ならば5p〜10p程度でよいでしょう。
水質に関してですが、真新しい水は避けた方がよいかもしれません。ブラックウォーターを使用する愛好家もいます。ちなみに私は熱帯魚部門のディスカスの水(弱酸性)を使わせてもらっていました。
レイアウトに関してですが、私は浮草や水草を多めに入れて管理していました。水草は隠れ家になるだけでなく、餌動物の動きを制限し、カッパヘビが捕食しやすい環境になっていたようにも思います。
浮草の間からスッと顔を出すカッパヘビを見て「怪しいヘビだなぁ」と不思議なネーミングセンスに納得したものです。
カッパヘビは夜行性なので強い光源は必要ありません。蛍光灯タイプの物を使用すると良いでしょう。日中よりも夜間に活発なようで、朝になったらエサがなくなっていた、ということもありました。水温は高め(28℃前後)に設定しましょう。

稀に咬み付いてくる個体もいます(特に大型個体)
エサに関して
カッパヘビ飼育における最大の謎にして難関がエサです。カッパヘビが何を食べるのか、以前から愛好家の間では時折話題になっていました。「エビや水生昆虫を食べるらしい?」とか「ヒルやミミズをたべるのでは?」、「いやいや、普通に魚を食べるよ?」などといろんな噂がありました。 私の知る限りでは金魚、ヨシノボリ、グッピー、モーリーなどを食べました。しかしながら、カッパヘビは神経質な一面があり、落ち着かないとエサを食べようとしません。また、動きの速いエサは捕らえられないようです。さらに代謝も低いのか、一度エサを食べると数週間エサを欲しがらない場合もあります。

よくわからないヘビさんです。
なにかと人騒がせなヘビです
カッパヘビは一部の愛好家にとって垂涎の珍蛇の一つでした。日本に初来日したときは愛好家たちは大いに喜び、エサを食べないといって頭を抱え、何かを食べたら食べたでまた騒ぎ・・・みたいなことを繰り返していました(今でもやっているんですが)。 今思うと、ちょっと変わった人の集まりだったような気もします。なぜ、僕らは私財を投じて、わけのわからないヘビを何度も何度も飼っていたのか(これも今でもやっているんですが)・・・。
- 水深は浅く
- 水温は高め
- 水質は弱酸性
- 水中で落ち着ける環境を作る
- エサはいろいろ試して個体の好みを探る
まだまだわからないことだらけですが、カッパヘビの飼育はとにかくいろんなことに挑戦することが大切だと思います。これからも河童に化かされた気持ちで、挑戦していきたい珍蛇です。

Albert Einstein(1879−1955)