サラマンダー界の奇行種 ダスキーサラマンダー

ダスキーサラマンダーとは
ダスキーサラマンダーDesmognathus fuscusとは、カナダ東部(ニューブランズウィック州など)からアメリカ合衆国東部(サウスカロライナ州など)にかけて分布する有尾類の仲間で、ウスグロサンショウウオとも呼ばれますが、サンショウウオの仲間ではなく、イモリ亜目に含まれます(アメリカ合衆国に分布するサンショウウオ亜目はアメリカオオサンショウウオだけです)。
- 全長:10〜14pほど
- 背面:褐色〜赤褐色で個体によっては橙色や黒色、灰色の斑紋が散らばっています。
- 腹部:白色〜灰白色
- 頭部:やや扁平で眼が上方にちょっと突き出しています。
- 体形:スレンダーで前肢よりも後肢の方が長く、力強い構造になっています。
なお、本種が属するプレソドン科は肺を持たず、皮膚や口の粘膜を通じて呼吸を行います。野生下では森林内の渓流や湧水地、湿地周辺に多く見られ、主に陸上で活動しますが、水辺から20〜30m以上離れることは稀です。また完全な夜行性というわけではなさそうですが、強い光は避ける傾向があります。
肉食でミミズや昆虫、ヨコエビなどの無脊椎動物を捕食して暮らしています。
ダスキーサラマンダーの飼育環境
小型なのでケージはさほど大きくなくてもかまいません。小型水槽や大きめのプラケースでも飼育が可能です。照明などは特に必要ありませんが、熱帯魚用のライトなどを設置すると観察しやすいです(熱の出ないLEDタイプなどが適しています)。
水でも陸でも活動するため、ミズゴケや砂利を斜めに敷き詰めたアクアテラリウム、もしくは水気の多いテラリウムで飼育します(水はカルキを抜いた新鮮なものを使用しましょう)。シェルターも小型のものを複数設置してやるとよいでしょう。かなり丈夫な種類ですが、高温にはさほど強くないため、気温は25℃を超えないように注意しましょう(夏場のクーラーは必須です)。
餌にはサイズに合ったコオロギやレッドローチ、赤虫(水中で与えましょう)などですが、慣れると湿らせた熱帯魚用の人工飼料やレオパゲルに餌付くものもいます。

北米産サラマンダーの入門種的存在と言えるでしょう
動きがめっちゃ速い!
イモリとかサラマンダーというと、何というか、のんびり、もったりしたイメージがあると思うのですが、本種は危険を感じると尻尾を振り回しながら跳ねるように走り回ります。しかも、不用意に尻尾を掴んだりするとトカゲのように自切してしまうので注意が必要です(尻尾は時間と共に再生します)。
また、壁を這うのも得意で、粘着力のある皮膚と強力な脚力でガラスやプラスチックの壁面を上ってくるのですが、その気になったらアカハライモリのようにペタペタとゆっくり上るのではなく、タッタッタッと普通に歩くように壁を上ってくることもあります。ケージには必ず蓋をするようにしましょう。

よくわからない動きもします
ダスキーサラマンダーは時々よくわからない動きをして飼い主をびっくりさせることがあります。
以前、入荷したばかりのダスキーサラマンダーをちょっと広めのケージ(60×30×36cm)で飼育していたら、いつものように壁に張り付いて脱走を試みていました。私が「やめてほしいなぁ」と思って、上からのぞき込むと、いきなり後方にのけ反って飛び降り、そのまま水場で背泳ぎするかのようにお腹を見せて泳ぎだし、ケージの側面に頭がぶつかるとそのまま動かなくなりました。私は「やべっ!死んだ?!」と思ってケージの蓋を開けてのぞき込むと、何事もなかったかのように動き出し、シェルターの中へ戻っていきました。
後で知ったのですが、これはダスキーサラマンダー特有の逃避行動らしく、ひっくり返って白いお腹を見せながら泳ぐことで、水面の光の反射に自身を紛れ込ませるという、高度なステルス技術だそうです。
また、2年くらい飼っていた個体は、夜になるとシェルターから出てきて定位置で待機し、餌を与えるとダッシュで寄ってきて、上顎を跳ね上げるようにして食らいつき、食べ終わるとまたシェルターに戻っていく個体もいました。
ダスキーサラマンダーの飼育は、‘有尾類=のんびり’というイメージを良い意味で裏切ってくれる、野生の断片を凝縮したような奥深さがあります。



















