最近、『美容食』という言葉をよく聞くように、私たち人間の食生活の中で、食と美容の関係がとても大切だと言われるようになりました。
メダカ社会においても同様に食と美容の間には深いかかわりがあることをご存知でしょうか?ここではメダカをさらにもう一段階美しく仕上げるために必要な『エサ』についてお伝えします。

@栄養
いつも使っているエサのパッケージの裏面には下記のような栄養素に関しての記述があります。極論してしまえば、バランスよく全ての栄養素を摂取させることが大事なのですが、それでは芸がないのでここでは成長ステージにも着目して栄養摂取についてまとめてみました。
【粗蛋白(そたんぱく)】
メダカを成長させるための重要成分で高タンパクなほど成長促進に効果を発揮します。一般的に含有率40%を超えると、高タンパクと呼ばれることが多くなります。稚魚から若魚までのステージにおいては、しっかりした骨格を形成するためのエサとして。成魚ステージにおいては肉付きを良くする目的や産卵を促す目的で使用されます。簡単に言うと、『肉をたくさん与えて太らせる』ということ。ただし、低タンパクなエサが駄目かというとそうではなく、消化されやすいという特徴があるため、低水温時や状態が優れないときにはこちらを用いる方が得策と言えるでしょう。
【粗脂肪(そしぼう)】
粗蛋白同様、メダカの成長を促すための成分で、一般的に8%以上を高脂肪4%以下を低脂肪とされることが多いです。高含有率のエサは増体効果がありますが、水を汚しやすいなどの特徴もあるため、注意が必要です。
【粗繊維(そせんい)】
エサに含まれる炭水化物のこと。エネルギー源になる栄養素です。一般的に高栄養価のエサになるほど含有率は少なくなります。
【粗灰分(そかいぶん)】
エサに含まれるミネラルのことで、エサを燃やしたときに残る成分なので、灰分といいます。骨などの体の組織を構成したり、体の調子を整えたりする働きがあります。
一般的には、粗蛋白の含有率が高いエサほど高栄養価とされることが多いので、メダカを太らせたい・体型を良くしたいと思った場合は、粗蛋白含有率の高いエサを選ぶと良いでしょう。もちろんバランスが大切なのですが、市販されている人工飼料は、きちんとバランス調整されていることが多いので、給餌量や給餌期などを間違えなければあまり心配はありません。
それでも心配が尽きないメダカ愛好家の皆さまにはこちらがおすすめ
成長ステージごとに適した栄養素と粒度の調整が既におこなわれている便利なエサ
⇒メダカの舞
(キョーリンHPへ移動します)
A色揚げ効果
黄色素をもつメダカ、例えば楊貴妃から派生したメダカたちは『色揚げ』をおこなうことでその魅力をさらに引き出すことができます。近年ではこの色揚げに特化したエサの開発も進められています。色揚げに特化したエサを探し出すための2つのキーワードを紹介します。
【アスタキサンチン・カロチノイド含有】
メダカの色揚げに必要なアスタキサンチンに代表されるカロチノイドを添加したエサ。色揚げを目的として様々な原料が配合されているため、容易に色揚げをおこなうことが可能です。
楊貴妃などの赤系メダカを美しく育てるために、最適なカロチノイドを厳選して配合された色揚げのためのエサ
⇒メダカの舞 スーパーオレンジ
(キョーリンHPへ移動します)
【原料にオキアミなど甲殻類を使用】
パッケージの裏面や、飼料製造社のホームページなどを確認すると、そのエサを製造する際に用いられた原料を見ることができます。ここで重要なことは、オキアミミールなど甲殻類が使用されていること。甲殻類の殻には色揚げ成分のひとつであるアスタキサンチンが含まれているからです。ただし、原料の含有率に関しては企業秘密であることが多いため、色揚げ用のエサを選ぶ方が無難と言えます。
B活きエサ
栄養価においては人工飼料に及ばないものの、嗜好性は非常に高いエサです。そのため、サブのエサとしておやつ程度に与えることで、人工飼料では補給できない天然由来の栄養素の供給や、エサに飽きさせない、などの効果をもたらします。また購入して間もないメダカは、環境の変化から食が細くなってしまう個体もいます。そのようなメダカを美しく仕上げるための導入エサとしては、この活きエサは最適です。
代表的な活きエサの種類
・アルテミア
・ミジンコ
・アカムシ
・イトメ

メダカ上級者の飼育設備を見ると、黒や緑の容器でメダカを飼育されていることが多いことに気が付きます。これはメダカの生理学的知見に基づいた飼育設備で、周囲の環境が暗い色であることが重要なポイントなのです。まずメダカの生理現象から詳しくみていきましょう。
メダカは、ほかの魚に比べ視覚的に環境を察知する能力に長けていると言われています。その理由は、視力がよいとか、感覚器官である側線が脳に近い場所にあるためだとか諸説あります。また、メダカは外敵から身を守るため、周囲の環境に溶け込むための保護色を発現させるという保護色機能をもっています。さて、この2つの生理現象を組み合わせると、次のことが分かってきます。
“メダカは視覚で周囲の環境を認識しているため、飼育環境によって保護色をコントロールすることができる”
つまり、メダカ上級者は、黒や緑の容器を用いて周囲を暗い環境にすることで、この保護色機能を発現させ、より綺麗なメダカに仕上げているということなのです。ではこの方法で全てのメダカの色が揚がるのか、答えは残念ながらNOです。水中で保護色となる色は黒や赤なので、これらの色を持つメダカの場合には、保護色機能がプラスに働いて、より美しい姿に仕上がります。そのため、この方法が適応される品種は、楊貴妃系統やブラック系統、または墨が乗る三色などの系統となるのです。しかし、黒や緑の容器での飼育は色揚げのためだけではありません。というのも、このような容器にメダカを入れることによって、メダカの色自体が背景にとても映えるようになるからです。美しく色を揚げることはできなくても、全てのメダカを美しく飼うには黒い飼育環境はとても良い環境だと言えます。
そのほか、種類によっては白い容器での飼育にメリットがあるものもあります。
【白い容器をオススメする品種】
マリンブルー、深海
(これらの品種は、黒容器にすると体内の青い光が消えてしまうため)
【白い容器でもOKな品種】
オロチ、黒龍、黒揚羽、黒蜂
(黒容器で飼った方が黒は際立つが、正直どこにいるか分からなくなることも。
若干色は薄くなりますが、白い容器の方が魅力は伝わりやすいかもしれません)
近年明らかになり始めたメダカの色揚り要因です。婚姻色とは、産卵期を迎えた生物(特にオスが多い)に発現する、特有の体色のことです。

コイ科の魚の婚姻色はとても有名ですが、メダカにもこの婚姻色が現れます。実際にニホンメダカ(Oryzias latipes、Oryzias sakizumii)でも婚姻色は確認されています。が、もともとの体色が地味なためか、その婚姻色は少々分かりにくいそう。
一方で、インドネシアのスラウェシ島に生息するOryzias nigrimasという品種では、産卵期のオスが全身真っ黒に変化するなど大変分かりやすい婚姻色を発現させます。このように婚姻色の発現によって、そのメダカがもつ体色は、よりはっきりとしたものに変化していくことが分かっています。
メダカの婚姻色は飼育環境下でも発現します。このことから、より美しいメダカを作り上げるための手段として、ペア飼育を試してみるというのもおすすめです。
水草と一緒にメダカを飼うことは、メダカにとって良い影響を与えます。
【水草によるメダカの色揚げ効果の流れ】
メダカのフンや残りエサによって、
水質悪化の原因となる硝酸やリン酸が発生
⇒水草が成長する際に、水中の硝酸やリン酸を吸収
⇒水質浄化!
⇒メダカの調子が良くなる
⇒艶が揚がるなど、体色がキレイに。
水草には、様々な種類があるので、飼育環境に適したお好みのものを選んでみてください。
強い光を必要としないため、屋内でも育成できます。根を張らず、浮かべるだけでも成長します。
ほかの水草に比べて成長が速く、その分、水質浄化の役割もよく果たしてくれます。
-
水中で育つ水草です -
おもりなどを使って植えれば、
レイアウトとしても使用できます -
白メダカも目の辺りの青色が美しくなります
多くの種類があり、特徴もさまざまです。浮草のシーズンは、4月頃から10月頃まで。※
【屋外での育成向き】
-
- ホテイアオイ
-
夏の夜に紫色の花が咲きます。
水質浄化作用も◎
-
- フィランサス フルイタンス
- 湿度と明るさを好むので夏頃の屋外向き。赤色の葉も屋外での方が良く見られます。
-
- ヒグロリザ アリスタータ
-
脇芽からも新芽が出てきます。
緑の細かい根が美しく産卵床向き。
-
- ルドウィジア セディオイデス
- 水面に広がる葉の形が美しい!
【明るい場所であれば屋内でも】
-
- アマゾンフロッグピット
-
たくさん浮かべて楽しめます。
水質浄化作用も比較的強め。
-
- サルビニア ナタンス
-
オオサンショウモ。
育成はかんたん。
-
- サルビニア ククラータ
- 小さくて丸い新しい葉が増えて広がります。
-
- アマゾンチドメグサ
- 浮草でなく底砂に植えて育てる水草ですが、浮かべるだけでもOK。
※水温だけでなく、湿度も影響するため、この期間をおすすめしています。

