【趣味のメダカ】 楊貴妃の深淵に迫る

2004年、かつて誰も目にしたことの無いようなメダカが世に現れた。その名は、楊貴妃。燃えるような朱赤色の体色が唯一無二の特長である。 リリースされてから10年以上が経った今でもなお、赤系メダカの頂点に君臨し、人々を魅了し続けている。

さて、ここではそんな楊貴妃の奥深さをほんの少しだけ覗いてみたいと思う。 そもそも楊貴妃というメダカは、メダカ好きならば一度は耳にしたことがあるであろう『めだかの館・大場幸雄氏』の 手によって作出された品種である。琥珀メダカの中から稀に現れる朱赤色のメダカを選抜育種して固定された品種が楊貴妃と呼ばれる。

しばしば誤認されがちであるが、濃い体色のヒメダカが、楊貴妃、というわけではない。それは色素胞の組成に目を向ければ一目瞭然だ。 ヒメダカは黒色素胞の欠乏によって、あのオレンジ色の体色を発現させているが、それに対し、楊貴妃は琥珀メダカ由来の黒色素胞の影響を受けるため、 あのように燃えるような朱赤色を発現させることができる。事実、楊貴妃にブラック系のメダカを交配させて得られる仔魚たちは、 よりシャープな色味を出すようになるものだ。また楊貴妃の朱赤色にも様々なバリエーションが存在することが確認されている。 オリジナル系統作出を目指すのも、楊貴妃の深淵に迫るひとつの方法かもしれない。

先に書いたように、楊貴妃にはカラーバリエーションが存在し、微妙な色味の違いに加え、体型の違いなどによって系統分けがなされ、 初代楊貴妃から数えた累代数が振ってあることが多い(ex. 楊○○など)。しかしながら、このようにしっかりと系統分けされた楊貴妃が、 一般流通することはほとんどない。楊貴妃が好きで純血統の維持を続けてきた愛好家の下で大事に大事に管理されている個体ばかりである。 もちろんその入手は大変困難なものとなっている。色の濃さに注目されがちな楊貴妃だが、このすばらしいメダカを生み出した血統にも 注目してみてはどうだろうか。信頼のおけるメダカショップで純血統の楊貴妃を購入し、純系の維持をする。 これは楊貴妃の真の魅力に迫ることであると同時に、5年後・10年後の変りメダカ界にとっての大きな財産となりうるに違いない。











【趣味のメダカ】 メダカ生産とその秘訣〜養殖センターを大解剖〜

2009年、指宿養殖センターの創設とともに始まった、カミハタブリードメダカ生産。 現在に至るまで幾つもの成功と失敗を繰り返してきた。今回は、記念すべき『めだかこばなし』第一話と称し、 カミハタブリードメダカの生産風景と生産秘話をお伝えしていく。

【趣味のメダカ】 紅累代記

楊貴妃透明鱗メダカ、『紅(くれない)』。カミハタオリジナルメダカ作出の祖となったメダカである。 今回は、紅から始まった数世代に渡る累代記をご紹介したいと思う。 今後、メダカフリーク諸氏にとって、繁殖のヒントとなってくれれば幸いである。

【趣味のメダカ】 オーロラ幹之〜メダカ史に新たなページを刻む〜

2015年以降、メダカの表現型は非常に多岐に渡るようになった。楊貴妃メダカや幹之メダカなどの誕生に匹敵するほどの進化が起きたと言っても過言ではないだろう。その背景には、あるメダカの誕生が大きく関与している。 今回は、そのメダカに焦点を当ててみる。

【趣味のメダカ】 ヒレ長メダカの魅力と進化の可能性に迫る

2013年、熊本県長洲町、福岡県大牟田市にて、革新的な進化を遂げたメダカが生み出された。その名は、松井ヒレ長メダカ。ヒレ長メダカの新たな歴史を作ったメダカである。 今回は、このメダカの素晴らしさと、秘められた進化の可能性をお話ししようと思う。

【趣味のメダカ】 天鳳累代記

カミハタオリジナルメダカ、『天鳳』。体外光とラメ光のまばゆい光を放ち、天を舞う鳳を思わせるその風貌。多くの魅力が詰まったメダカである。今回は、その魅力に焦点を当てつつ、作出に至るまでの累代記をお話ししたい。

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